はじめに:常識を覆す「共犯関係」ラブコメ
みなさんは「溺愛」という言葉にどんなイメージを持っていますか?
甘くて、優しくて、お姫様のように扱われる……そんな王道の恋愛漫画に少し飽きてしまった、刺激が足りないという方に、今こそ読んでほしい作品があります。
それが、小学館『プチコミック』で連載中の話題作、川瀬あや先生の『これは犯罪ではなく恋です。』です。
タイトルからして不穏な空気が漂っていますが、ページをめくればそこは「尊さ」と「笑い」のパラダイス。主人公もヒーローも、互いに互いを愛しすぎて少し(かなり)常識がズレてしまった「ストーカー」同士なのです。
「犯罪」スレスレの行為も、二人にとっては愛の証。法と倫理のギリギリを攻める、現代最強の偏愛オフィスラブコメディの魅力を、余すことなく徹底解説します。
基本情報
まずは本作の基本的な情報をチェックしましょう。
| 項目 | 内容 |
| 作品名 | これは犯罪ではなく恋です。 |
| 著者 | 川瀬あや |
| 出版社 | 小学館 |
| 掲載誌 | プチコミック(フラワーコミックスα) |
| ジャンル | 少女漫画 / オフィスラブ / ラブコメディ |
| 形式 | マイクロコンテンツ先行配信 / 紙単行本 |
作品概要:愛が重い二人の「答え合わせ」
本作は、一見すると「地味な総務部OL」と「イケメン情報システム部エース」による王道の社内恋愛ものです。しかし、その実態は**「相互ストーカー」による高度な心理戦(という名のすれ違いコント)**です。
ヒロインは彼を崇拝するあまり、遠くから監視し、情報を収集する「自称・良識あるストーカー」。対するヒーローは、彼女が好きすぎて裏アカウントを特定し、デジタル技術を駆使して見守る「天才ハッカーのストーカー」。
この物語の面白さは、両者が「自分のストーカー行為がバレたら嫌われる」と怯えながら、必死に「普通の恋人」を演じようとする点にあります。読者だけが知っている「お互い様だよ!」という真実が、極上のカタルシスと笑いを生み出します。
著者の川瀬あや先生は、これまでも『キスはスーツを脱いでから』などで「大人の溺愛」を描いてきた名手。本作ではその手腕がいかんなく発揮され、重すぎる愛をポップな笑いに昇華させています。
あらすじ:嘘と秘密と爆発的な愛
総務部に勤める森山春奈には、誰にも言えない秘密がありました。それは、社内の王子様的存在である情報システム部の相馬直人を「推し」として崇め、法に触れないギリギリの範囲でストーキング(情報収集・遠隔監視)すること。
機械音痴な春奈がパソコンを壊すたびに、嫌な顔ひとつせず直しに来てくれる相馬さんは、彼女にとって神様のような存在でした。
「遠くから見ているだけで幸せ」
そう思っていたある日、会社の飲み会で事件が起きます。なんと、憧れの相馬さんから突然「じゃあ、つき合う?」と告白されたのです!
夢のような展開に舞い上がる春奈。しかし、彼女は知りませんでした。
実は相馬もまた、以前から春奈に激しい執着を抱いており、彼女のSNS裏アカウント(妄想垂れ流し)を特定・監視し、彼女の思考をすべて把握した上で近づいてきていたことを……。
「絶対にストーカーだとバレてはいけない彼女」
「全てを知った上で、さらに上を行くストーカー彼氏」
互いに秘密を抱えたまま始まった交際は、嫉妬、ハッキング、そして勘違いの連続。歪んでいるのに最高にピュアな、二人の恋の行方は果たして――?
魅力・特徴:なぜこんなに「刺さる」のか
本作が多くの読者の心を掴んで離さない理由は、単なるコメディに留まらない「愛の深さ」にあります。
1. 「見られたくない自分」を受け入れられる快感
誰しも好きな人の前では良く見られたいもの。特にSNSの裏垢やネガティブな妄想は、絶対に見られたくない「恥部」です。しかし本作の相馬は、春奈のそんな恥ずかしい部分さえも「可愛い」「愛おしい」と全肯定します。
「ありのままの自分を愛してほしい」という現代人の究極の願望が、この奇妙な関係性の中で満たされるのです。
2. スリル満点の「すれ違い」コント
二人の会話は常にアンジャッシュのコントのような「すれ違い」を含んでいます。
春奈が「偶然会えた!」と運命を感じているシーンで、読者はそれが相馬の高度な計算によるものだと知っています。また、相馬が春奈の浮気を疑って嫉妬に狂うシーンでは、実は春奈が推し活(相馬への)をしていただけだったりします。
この「読者だけが全てを知っている」という神の視点が、毎話ニヤニヤと笑いを提供してくれます。
3. ハイスペック男子の「残念な」溺愛
仕事ができてクールな相馬さんが、裏では春奈のことしか考えていない「限界オタク」のような思考回路になっているギャップもたまりません。
彼が職権を乱用して春奈を守ったり(社会的にはアウトですが)、彼女に近づく男を排除しようと奮闘する姿は、一周回って愛おしく見えてきます。
主要キャラクター紹介
この物語を彩る、愛すべき「変人」たちを紹介します。
森山 春奈(もりやま はるな)
- 所属: 総務部
- 特徴:本作の主人公。真面目で一生懸命なOLですが、相馬への愛が強すぎて認知が歪んでいます。「法には触れない」をモットーに日々の監視活動に勤しむ、自称・良識あるストーカー。とてつもない機械音痴で、触れるだけで電子機器をバグらせる特殊能力(?)を持っています。自己肯定感が低く、「自分なんかが相馬さんと釣り合うわけがない」と思い込んでいるため、相馬の激重な愛に気づきません。
相馬 直人(そうま なおと)
- 所属: 情報システム部
- 特徴:社内随一のイケメンにして、システム部の絶対的エース。その正体は、かつて名を馳せた天才ハッカー。表向きは爽やかで優しい好青年ですが、本性は春奈を「確保」し「独占」することに命をかけるヤンデレ気質のストーカーです。春奈の裏垢をチェックするのが日課で、彼女の行動パターンを先読みしては、偶然を装って接触します。春奈以外の人間には興味がなく、彼女に近づく男には容赦ない一面も。
Q&A:これから読む人のための疑問解消
作品について、よくある疑問や気になるポイントをまとめました。
Q1: 原作の小説などはありますか?
A: いいえ、ありません。
本作は川瀬あや先生によるオリジナルの漫画作品です。小説家になろう等の投稿サイト発のコミカライズではなく、漫画のために書き下ろされたストーリーですので、先の展開は誰にも分かりません(連載を追う楽しみがあります!)。
Q2: どんな人におすすめですか?
A: 以下の項目に一つでも当てはまる方におすすめです。
- 重い愛、執着愛、ヤンデレが好き。
- 仕事で疲れていて、何も考えずに笑ってキュンとしたい。
- 「私のことだけを見てくれる人がいい」という願望がある。
- IT系男子、スーツ男子に萌える。
Q3: 作者の川瀬あや先生はどんな人?過去作は?
A: 小学館の『プチコミック』を中心に活躍されている、ラブストーリーの名手です。
代表作には、電子書籍でロングヒットを記録した**『キスはスーツを脱いでから』や、異世界転生ものの『悪役令嬢は2度死ぬ』、『注文の多い玉の輿婚』**などがあります。
また、ドラマ化もされた大ベストセラー小説『謎解きはディナーのあとで』(著:東川篤哉)のコミカライズを担当されたことでも知られています。シリアスからコメディまで描き分ける画力と構成力は折り紙付きです。
Q4: 「犯罪」というタイトルですが、怖い話ですか?
A: 全く怖くありません!むしろ幸せな話です。
タイトルの「犯罪」は、物理的な危害を加えることではなく、「法に触れそうなほど愛が重い」「プライバシーを侵害するほど知りたい」という、恋愛における衝動のメタファーです。
作中でのストーカー行為やハッキングは、あくまで二人の愛を深めるためのスパイス(およびギャグ要素)として描かれています。サスペンス要素もありますが、基本的にはハッピーなラブコメディですので、安心してお読みください。
さいごに:狂気と純愛は紙一重
『これは犯罪ではなく恋です。』は、現代社会で私たちが抱える「承認欲求」と「独占欲」を、極端な形でエンターテインメントに昇華させた傑作です。
普通なら「重い」「怖い」と敬遠されるような感情も、お互いが同じ熱量でぶつかり合えば、それは「運命の恋」になります。
春奈と相馬、二人の愛すべきストーカーが繰り広げる、おかしくて、もどかしくて、最高に甘いオフィスラブ。
常識のタガが外れたとき、人はここまで誰かを愛せるのかもしれません。
まだ読んだことがない方は、ぜひこの「共犯者」たちの世界を覗いてみてください。きっと、あなたもこの「犯罪的」な面白さから抜け出せなくなるはずです。


