【待望の邦訳】Netflixドラマの衝撃、再び。原作漫画『DP DOG’s DAY』が暴く「逃げるしかなかった」彼らの真実

DP DOG's DAY 上 海外の作品
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Netflixで配信され、世界中で大ヒットを記録したドラマ『D.P. -脱走兵追跡官-』。軍隊という閉鎖的な組織の中で繰り広げられる人間ドラマに、心を激しく揺さぶられた方も多いのではないでしょうか。チョン・ヘイン演じるアン・ジュノの静かな怒りと、ク・ギョファン演じるハン・ホヨルの軽妙なバディ感は、重いテーマの中にもエンターテインメントとしての輝きを放っていました。

しかし、皆さんはご存知でしょうか?あの傑作ドラマには、さらに鋭く、さらに乾いた視点で描かれた「原点」が存在することを。それが、今回ご紹介する漫画『DP DOG’s DAY(ディーピー・ドッグス・デイ)』です。

ドラマ版が「動」の魅力にあふれているとすれば、原作漫画は「静」の衝撃に満ちています。著者のキム・ボトン氏は、実際にD.P.(軍務離脱逮捕組)として任務に就いていた経歴を持つ人物。彼の実体験に基づいて描かれた本作は、フィクションでありながら、ドキュメンタリー以上に「リアル」な痛みを伴って、読む者の胸に迫ります。

「なぜ、彼らは脱走という選択をしなければならなかったのか」

「なぜ、誰も彼らに手を差し伸べなかったのか」

2025年11月、ついに日本語版(上巻)が発売となるこの話題作。ページをめくるたびに突きつけられる問いは、韓国の軍隊という特殊な環境の話にとどまらず、学校、会社、そして私たちが暮らす日本社会のあらゆる組織に潜む「不条理」と共鳴します。ドラマを見た方も、まだ見ていない方も、この漫画を読むことで味わう体験は、きっと忘れられないものになるはずです。

今回は、この冬一番の注目作『DP DOG’s DAY』について、その魅力や特徴、登場人物たちの知られざる横顔、そして物語に込められた深いメッセージを、あますところなく徹底解説していきます。読み始めたら止まらない、切なくも愛おしい「犬の日」の物語へ、ご案内します。

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基本情報

まずは、この作品の基本的な情報をチェックしておきましょう。日本語版は太田出版から刊行されており、ドラマファンだけでなく、社会派漫画やヒューマンドラマを愛する全ての漫画好きにおすすめできる一冊です。

項目内容
タイトルDP DOG’s DAY(ディーピー・ドッグス・デイ)
原題D.P 개의 날(D.P 犬の日)
著者キム・ボトン(Kim Bo-Tong)
翻訳廣岡 孝弥
出版社太田出版
発売日(上巻)2025年11月27日
発売日(下巻)2026年1月予定
ジャンル社会派ドラマ / ミリタリー / ヒューマン / ミステリー
価格6,050円(税込)
備考Netflixドラマ『D.P. -脱走兵追跡官-』原作
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作品概要

『DP DOG’s DAY』は、もともと韓国のウェブトゥーン(Web漫画)プラットフォーム「Lezhin Comics(レジンコミックス)」にて、2015年から連載された作品です。タイトルの「D.P.」とは、「Deserter Pursuit」の略称であり、韓国軍において脱走兵を捜索・逮捕することを専門とする「軍務離脱逮捕組」のことを指します。

著者のキム・ボトン氏は20代の頃、実際に憲兵隊のD.P.組に所属していました。その時の過酷な、しかし忘れられない経験をもとに描かれた本作は、連載当時から韓国国内で大きな波紋を呼びました。単なる軍隊アクションや青春群像劇ではなく、閉鎖的な組織内で蔓延する陰湿ないじめ、暴力、理不尽なパワハラ、そしてそれらを「見て見ぬふり」をする傍観者たちの姿を、あまりにも赤裸々に描いたからです。

韓国での累計閲覧数は約1000万ビューを記録。「軍隊の人権問題」を社会的な議論のテーブルに引きずり出した問題作として知られています。ドラマ版の大ヒットもあり、その内容はエンターテインメントとして昇華されていますが、原作漫画が持つ雰囲気は、より「ドライ」で「ハードボイルド」、そしてどこかやるせない「哀愁」が漂います。

華美な演出を削ぎ落とし、淡々とした筆致で描かれる脱走兵たちの事情は、読む人の心にズシリと重い石を置くような確かな感触を残します。ドラマ版で描かれた「アクション」や「バディの絆」の根底にある、よりシビアな現実。それがこの原作には詰まっています。

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あらすじ

物語の舞台は、徴兵制が敷かれている韓国。主人公のアン・ジュノは、入隊し軍生活を送るごく普通の青年でした。しかし、彼の鋭い観察眼と卓越した洞察力が上官の目に留まり、彼は「D.P.(軍務離脱逮捕組)」という特殊な任務に配属されることになります。

D.P.の任務は、軍隊から脱走した兵士たちを追いかけ、捕まえ、連れ戻すこと。髪を伸ばし、私服を着て、携帯電話を持ち、一般社会に紛れて脱走兵の行方を追う彼らは、一見すると軍人らしくない自由を謳歌しているように見えます。しかし、その実態は精神的にも肉体的にも過酷そのものです。

彼らが追う「脱走兵」たちは、決して根っからの凶悪犯ではありません。その多くは、部隊内での耐え難い暴力、先輩からの理不尽な命令、人格を否定されるような言葉の暴力、そして誰にも助けを求められない孤独に耐えかね、突発的に、あるいは計画的に、高い壁を乗り越えてしまった若者たちなのです。

アン・ジュノは、相棒のパク・ソンジュン(ドラマ版のハン・ホヨルとは異なる、原作オリジナルの相棒です)と共に、脱走兵たちが残したわずかな痕跡を辿ります。薄暗いネットカフェ、安宿、実家、かつての恋人の家……。捜査を進める中で、ジュノは脱走兵たちが抱えていた「地獄」のような現実を目の当たりにします。

「もし自分が彼らの立場だったら、逃げなかったと言えるだろうか?」

任務を遂行し、彼らに手錠をかけるたび、ジュノの心には重い問いが蓄積されていきます。ただの「任務」だったはずの追跡劇は、いつしか韓国社会が抱える闇そのものと対峙する旅へと変わっていくのです。脱走兵を捕まえることは、彼らを救うことなのか、それとも再び地獄へ突き落とすことなのか。葛藤の中で、アン・ジュノは自分なりの正義と答えを探し続けます。

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魅力、特徴

著者自身の実体験に基づく、圧倒的な「空気感」の描写

本作の最大の魅力は、何と言ってもそのリアリティにあります。著者が元D.P.であることから、捜査の手順や軍隊内部の隠語、兵士たちのヒエラルキーの描写が非常に詳細かつ具体的です。しかし、単に事実を羅列するのではなく、その場に流れる「空気」の描き方が秀逸です。

例えば、先輩兵士が後輩を呼び出す時の張り詰めた緊張感、喫煙所で交わされる無気力な会話、脱走兵が潜伏している安いモーテルのカビ臭さまで漂ってきそうな描写。これらは、実際にその場に身を置いていた人間だからこそ表現できる解像度です。キム・ボトン氏の絵柄はシンプルで、一見すると「ヘタウマ」風にも見える親しみやすさがありますが、そのシンプルな線が、逆に無機質な軍隊の恐ろしさや、登場人物たちの空虚な表情を際立たせています。

読者は、アン・ジュノの視点を通じて、韓国の成人男性の多くが経験するという「閉鎖空間での息苦しさ」を追体験することになります。この没入感こそが、本作が単なる告発漫画を超えて、一級のヒューマンドラマとして評価される理由でしょう。

「加害者」と「被害者」の境界線を問う、深遠なテーマ性

一般的な刑事ドラマや追跡劇では、「追う側=正義」「追われる側=悪」という構図が明確です。しかし、『DP DOG’s DAY』において、その境界線は限りなく曖昧です。

脱走兵たちは軍法上は「犯罪者」ですが、その背景を知れば知るほど、彼らは組織的な暴力の「被害者」であることが明らかになります。一方で、彼らをいじめていた加害者たちもまた、さらに上の階級の人間から虐げられていたり、軍隊というシステム自体によって歪められてしまった「被害者」の側面を持っていたりします。

そして、主人公のアン・ジュノ自身も、傍観者であることに罪悪感を抱き、時には任務のために非情な決断を下す「加害性」を帯びていきます。本作は、「悪いのは誰か」という単純な犯人探しをするのではなく、「なぜ普通の人々が、この環境下では怪物になったり、逃亡者になったりしてしまうのか」という構造的な問題を執拗に問いかけます。

「いじめられているのを知っていたのに、何もしなかった」

「自分じゃなくてよかったと思ってしまった」

こうした人間の弱さや卑怯さを否定せず、ありのままに描き出すことで、読者自身の心にも「あなたならどうする?」という鋭い刃を突きつけてくるのです。

本格ミステリーとしても楽しめる、極上の「捜査劇」

重いテーマを扱ってはいますが、本作はミステリーや探偵小説としてのエンターテインメント性もしっかりと備えています。アン・ジュノと相棒のパク・ソンジュンのコンビネーションは、読んでいて頼もしくもあり、時にコミカルでもあります。

二人が全国各地を飛び回り、わずかな手がかりから脱走兵の居場所を推理していくプロセスは、本格的な捜査劇として非常にスリリングです。「なぜ彼はこの場所に立ち寄ったのか?」「最後に電話した相手は誰か?」「残されたレシートの意味は?」――断片的な情報をつなぎ合わせ、脱走兵の心理をプロファイリングしていく過程には、ページをめくる手が止まらなくなる面白さがあります。

そして、任務の合間に彼らが交わす会話や、SAで食べる食事、モーテルでの休息といった何気ないシーンには、男たちの哀愁と、過酷な任務の中での一瞬の安らぎが描かれており、これが物語の良い緩急となっています。

ドラマ版とは一味違う、原作ならではの「ドライ」な味わい

Netflixドラマ版から入ったファンの方にとって、原作漫画の雰囲気は少し新鮮に映るかもしれません。ドラマ版が感情を揺さぶる演出やアクションシーンを多用していたのに対し、原作漫画はより淡々と、静かに物語が進んでいきます。

しかし、その「静けさ」こそが、本作の最大の武器でもあります。過剰な演出がない分、事実はより冷酷に、そして真実はより鮮明に浮かび上がります。キャラクターたちの感情も、爆発するのではなく、内側に沈殿していくように描かれます。

特に、ドラマ版で人気を博したハン・ホヨルに代わり、原作ではパク・ソンジュンというキャラクターが相棒を務めます。彼とアン・ジュノの関係性は、ドラマ版の「陽と陰」のような関係とは異なり、もっとドライで、しかしプロフェッショナルな信頼関係で結ばれています。この違いを楽しむのも、原作を読む大きな醍醐味の一つと言えるでしょう。

シンプルな線が描く、余白の美学と想像力

キム・ボトン氏のアートスタイルは、写実的な劇画調の漫画とは一線を画しています。キャラクターの顔は簡略化され、背景も必要最小限に留められることが多いです。無彩色で素朴なタッチは、一見すると頼りなく感じるかもしれません。

しかし、この「余白」が読者の想像力を強烈に刺激します。脱走兵が絶望してうずくまる背中、暴力の瞬間の静止画、無表情に見えるアン・ジュノの目から流れる一筋の涙。詳細に描きすぎないからこそ、読者はそこに自分自身の感情や、これまでに見てきた風景を投影することができます。

「漫画は絵の上手さだけではない」ということを、如実に感じさせてくれる作品です。読むほどに、この絵柄でなければ表現できなかった「虚無感」や「切なさ」があることに気づかされるはずです。

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主要キャラクターの簡単な紹介

アン・ジュノ:鋭き眼光を持つ「シャーロック・ホームズ」

本作の主人公であり、物語の語り部です。一等兵(作中で階級が変わることもありますが)。非常に頭の回転が速く、些細な違和感を見逃さない観察眼と、一度食らいついたら離さない執念を持っています。その推理力の高さから、作中では「シャーロック・ホームズ」というあだ名で呼ばれることもあります。

しかし、彼は決して完全無欠のヒーローではありません。家庭環境に複雑な問題を抱え、過去には任務中のミス(サボっていた間に脱走兵が自殺してしまう事件)により、強烈なトラウマと罪悪感を背負っています。「あの時、自分がもっと早く見つけていれば」という後悔が、彼を突き動かす原動力であり、同時に彼を蝕む呪いでもあります。無愛想で言葉数は少ないですが、その内面には熱い正義感と、傷ついた者への深い共感が渦巻いています。

パク・ソンジュン:ドライだが頼れる「原作オリジナル」の相棒

アン・ジュノとコンビを組むD.P.の先輩。ドラマ版のハン・ホヨルに相当するポジションですが、性格はかなり異なります。ドラマ版のホヨルが自由奔放でユーモラスなキャラクターだったのに対し、原作のソンジュンはより現実的で、組織の論理に従いつつも、D.P.としての仕事をプロフェッショナルに遂行しようとする人物です。

感情的になりがちなジュノを諌めつつ、必要な時には阿吽の呼吸でサポートする。二人の関係は「友情」というよりも、戦場を共にする「戦友」や「共犯者」に近い絆で結ばれています。彼の存在が、物語が過度に感情的になるのを防ぎ、冷徹な現実を読者に突きつける役割も果たしています。「ドラマのホヨルも好きだけど、原作のソンジュンも渋くて良い!」と感じる読者も多いはずです。

パク・ボムグ:組織に生きる中間管理職の悲哀

D.P.担当官であり、ジュノたちの上司。階級は中士(軍曹クラス)。常に疲れ切った顔をしており、上層部からのおべっかと、部下への圧力の板挟みになっている典型的な中間管理職です。原作ではアン・ジュノの携帯に「クソ野郎(개새끼)」と登録されているほど、口が悪く横暴な一面もあります。

しかし、彼もまた根っからの悪人ではありません。組織の中で生き残るために汚れ役を引き受けつつ、心の奥底では部下たちを気遣い、軍の不条理に対して諦めに似た怒りを抱えています。時折見せる「大人のズルさ」と、それ以上に深い「大人の責任感」が同居する、非常に人間臭く、憎めないキャラクターです。彼のような上司がいるからこそ、ジュノたちは何とか任務を続けられているのかもしれません。

ファン・ジャンス:物語に影を落とす、象徴的なヴィラン

アン・ジュノの先輩であり、シーズン1におけるメインヴィランとも言える存在。所属部隊での実力者であり、後輩たちへの容赦ない暴力といじめを繰り返します。D.P.という特権を持ち、私服で外出できるジュノたちを快く思っておらず、執拗に嫌がらせを行います。

彼は単なる「悪役」として描かれますが、同時に軍隊という歪んだシステムが生み出した「怪物」の一人でもあります。彼のような存在がなぜ野放しにされているのか、そして彼自身もまた別の場所では被害者になり得るのではないか。そんな想像をさせるほど、彼の暴力性は「日常」の一部としてリアルに描かれています。

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Q&A

Q1: Netflixドラマ版の原作ですか?ストーリーは同じですか?

はい、本作はNetflixドラマ『D.P. -脱走兵追跡官-』の原作漫画です。著者のキム・ボトン氏は、ドラマ版の脚本統括も務めており、作品の根底に流れるテーマやメッセージは共通しています。

ただし、ストーリー展開やキャラクター設定にはいくつかの違いがあります。最大の違いは、主人公の相棒です。ドラマ版ではハン・ホヨルというオリジナルキャラクターが登場しましたが、原作ではパク・ソンジュンというキャラクターが相棒を務めています。また、ドラマ版はよりエンターテインメント性を高めるためにアクションや感動的な演出が強化されていますが、原作はより淡々としたドキュメンタリータッチで描かれています。結末が異なるエピソードもあるため、ドラマを見た方でも新鮮な気持ちで楽しむことができますし、むしろ「もう一つの真実」として深く味わうことができるでしょう。

Q2: どのような人におすすめの漫画ですか?

まず間違いなくおすすめしたいのは、Netflixドラマ版『D.P.』のファンの方です。ドラマの補完として、あるいは別視点からの物語として楽しめます。

また、『闇金ウシジマくん』や『カイジ』のような、社会の裏側や人間の深淵を描いた作品が好きな方にも強くおすすめします。軍隊という特殊な設定ですが、そこで描かれる人間ドラマは普遍的です。

「社会問題に関心がある」「重厚なヒューマンドラマを読みたい」「ミステリー要素のある漫画が好き」という方にとっても、読み応えのある一冊となるはずです。逆に、単純な勧善懲悪や、明るいハッピーエンドだけを求める方には少し刺激が強いかもしれません。

Q3: 作者のキム・ボトンさんはどんな人ですか?他にどんな作品がありますか?

キム・ボトン(Kim Bo-Tong)氏は、2013年にウェブトゥーン『アマンジャ』でデビューした人気漫画家です。『アマンジャ』は、若くして末期ガンを宣告された青年の日常と夢の世界を描いた感動作で、日本でも翻訳出版され、文化庁メディア芸術祭・マンガ部門で審査委員会推薦作品に選ばれるなど高く評価されました。

彼は自身のD.P.兵としての経験をもとに本作『DP DOG’s DAY』を描き、一躍社会派作家としての地位を確立しました。「不幸な境遇にある人々に寄り添う」優しい視点と、「社会の矛盾を鋭く突く」ジャーナリスティックな視点を併せ持つ稀有な作家です。ちなみに「キム・ボトン」というペンネームは、韓国語で「キム・普通」という意味。「普通の人々の物語を描きたい」という彼の願いが込められています。

Q4: 軍隊の知識が全くなくても楽しめますか?

はい、全く問題ありません。確かに作中には「中士」「兵長」といった階級や専門用語が出てきますが、物語の核にあるのは「人間関係」や「組織の理不尽さ」といった、誰にでも共感できるテーマです。いじめ、パワハラ、同調圧力、そこから逃げ出したいという気持ち……これらは軍隊に行っていなくても、学校や会社で誰もが一度は感じたことのある感情ではないでしょうか。

むしろ、軍隊という極限状態を舞台にすることで、人間の本質がよりむき出しになっており、人間ドラマとして非常に分かりやすく、読みやすい構成になっています。日本語版には訳注などで補足もされていますので、予備知識ゼロでも物語の世界に没入できます。

Q5: 「DOG’s DAY」というタイトルにはどんな意味が込められていますか?

このタイトルには、いくつかの深い意味が込められていると解釈できます。

一つは英語の慣用句「Dog days」から来ており、夏の最も暑い時期、あるいは「停滞した時期」「何をしてもうまくいかない時期」を指します。

もう一つは、韓国語の罵り言葉のニュアンスです。韓国では相手を罵倒する際に「犬(ケ)」という言葉をよく使います(「犬野郎」など)。上官から犬のように扱われ、尊厳を踏みにじられる兵士たちの日々。そして、軍隊の番犬(D.P.)として脱走兵を追い回すジュノたちの日々。そんな「ろくでもない日々」「最悪な日々」を象徴しているとも言えます。

さらに、忠実に飼い主に仕えるしかない「犬」の悲哀を、組織に縛られる兵士たちに重ね合わせているのかもしれません。読むほどに、このタイトルの重みと切なさが、読者の心に響いてくるはずです。

Q6: 読後感は暗いですか?救いはありますか?

正直に申し上げますと、テーマがテーマだけに、決して明るい話ではありません。救われない結末を迎えるエピソードもあり、読み終わった後に胸が締め付けられるような感覚を覚えることもあるでしょう。

しかし、不思議と読後感は「絶望」だけではありません。暗闇のような現実の中で、それでも必死にもがき、「何かを変えたい」「誰かを救いたい」と願うジュノたちの姿に、ある種の希望や光を感じることができるからです。また、著者の視点が非常に温かいため、悲劇の中にも人間への愛おしさが感じられます。「辛いけれど、読んでよかった」「知ることができてよかった」と思える、心に残る作品であることは間違いありません。

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さいごに

『DP DOG’s DAY』は、単なる「韓国の軍隊漫画」ではありません。それは、組織の中で個人の尊厳がいかにして奪われるか、そして人間はなぜ他者を傷つけてしまうのかという、普遍的な問いを投げかける作品です。

ドラマ版でその世界観に触れた方は、ぜひこの「原点」に触れてみてください。ドラマでは描かれなかったエピソードや、原作ならではの乾いた空気感、そしてアン・ジュノという青年の心の深淵を、より深く理解することができるでしょう。また、ドラマ未見の方にとっても、現代社会を生きる私たちの心に突き刺さる「必読の書」となるはずです。

ページを閉じた後、きっとあなたは空を見上げたくなるでしょう。彼らの「犬の日」が、いつか終わることを願って。

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