もし、あなたが明日、不慮の事故で頭が真っ二つになったら、どうしますか?
想像するだに恐ろしい状況ですが、さらに畳みかけます。
もしその時、朦朧とする意識の中、目の前に現れた絶世の美女が「助かりたいなら私と契約しなさい」と迫ってきたら、あなたはその契約書にサイン(?)しますか?
こんなシリアスでハードな問いかけから始まりましたが、ご安心ください。これはバトル漫画やダークファンタジーの話ではありません。
今回ご紹介する漫画『阿佐ヶ谷サキュバス同人物語』は、そんな突拍子もない契約から始まる、最高に「ダラダラ」で、ちょっと「お色気」たっぷりの「日常系ギャグコメディ」なのです。
この記事では、阿佐ヶ谷を舞台に繰り広げられる、「ザコザコ同人作家」と「エリートサキュバス」という異色すぎるタッグが織りなす物語の魅力を、余すところなくご紹介します。
基本情報:『阿佐ヶ谷サキュバス同人物語』の世界へようこそ
まずは、本作の基本的な情報をチェックしてみましょう。
| 項目 | 情報 |
| タイトル | 阿佐ヶ谷サキュバス同人物語 |
| 作者 | 縁山(へりやま) |
| 出版社 | 秋田書店 |
| 掲載誌/レーベル | チャンピオンクロス |
| ジャンル | ギャグ・コメディ、お色気、日常 |
注目すべきは、掲載誌が「チャンピオンクロス」である点です。
「週刊少年チャンピオン」を筆頭とする「チャンピオン」系列のレーベルは、いつの時代も、読者の予想の斜め上を行く「個性的」で「尖った」作品を世に送り出すことで知られています。
本作がその「チャンピオンの系譜」に連なる新作であるという事実は、これがただの日常コメディではなく、一筋縄ではいかない「何か」を秘めていることの証左と言えるでしょう。
作品概要:もしも、あなたが死にかけたら「サキュバス」と契約しますか?
この物語の核は、非常にシンプルです。
「ザコザコ同人作家の少女」と「超エリートのサキュバス」という、本来なら出会うはずのない二人がひょんなことから契約を結び、「同人会の天下を目指す(!?)」。
これだけ聞くと、熱いサクセスストーリーを想像するかもしれません。しかし、本作のジャンルはあくまで「ダラダラ同棲日常コメディ」なのです。
本作の本当の面白さは、目標は同じ「同人活動」でありながら、二人の「動機」が決定的にズレている点にあります。
主人公の莉奈は、同人活動で「糊口をしのぐ」、つまり「生活のため」に描いています。
一方のサキュバス(彼女はコンビニで「エロ本が無い」ことに憤るほどの人物です)は、人間の「欲望」や「情熱」を糧にする存在。彼女にとって、人間の欲望が渦巻く「同人界」は、最高の狩り場(エネルギー源)である可能性があります。
莉奈は「良い作品を作って、売りたい」
サキュバスは「人間の欲望(精気)を、効率よく集めたい」
この「同床異夢」な二人が、阿佐ヶ谷の片隅で共同生活を送りながら、どうやって「同人会の天下」を目指すのか。そのズレこそが、本作最大のコメディ発生源であり、物語のコンセプトなのです。
あらすじ:看板直撃、頭パッカーン!? 命の恩人はエリートサキュバス
本作の導入は、まさに「衝撃的」の一言に尽きます。
主人公は、佐藤莉奈(さとう りな)。阿佐ヶ谷で同人活動に励むも、なかなか芽が出ず「糊口をしのぐ」生活を続ける、いわゆる「ザコザコ同人作家」です。
ある日、彼女はふと立ち寄ったコンビニで、ひとりの「洋風美女」に絡まれてしまいます。その美女は、なぜか「エロ本が無い」ことに激しく憤っていました。
なんとかその場から脱出した莉奈。しかしその直後、彼女に最大の不運が襲いかかります。
突如、頭上から看板が落下し、莉奈は「頭が真っ二つに」なるほどの致命傷を負ってしまったのです。
朦朧とする意識の中、目の前に現れたのは、なんと先ほどの「洋風美女」。
彼女は、絶命しかけた莉奈に、悪魔のような(いや、悪魔そのものなのかもしれませんが)誘いをかけます。
「助かりたいなら私と契約しなさい」と。
こうして、命を繋ぎとめた莉奈と、自らを「エリートサキュバス」と(おそらく)名乗る美女との、奇妙な同棲生活がスタートします。
「同人会の天下を目指す」という、壮大すぎる目標を掲げて。
異色タッグの魅力と特徴:なぜこの漫画は「クセになる」のか
本作の魅力は、その破天荒な設定にあります。なぜこの組み合わせが「クセになる」のか、3つのポイントに分けて解説します。
魅力その1:「ザコ同人作家」と「エリートサキュバス」の絶妙な凸凹コンビ
本作の魅力の根幹は、主人公二人の「格差」にあります。
一方は、社会的・経済的に「ザコ」な同人作家・莉奈。
もう一方は、超常的な力を持つ「エリート」のサキュバス。
普通なら関わり合うことのない強者と弱者が、「契約」によって阿佐ヶ谷の(おそらくは六畳一間の)生活空間に放り込まれるのです。
エリートサキュバスが、莉奈の「ザコ」な生活(例:金欠、締め切り前の修羅場、散らかった部屋)に付き合わされる姿を想像するだけで、強烈な「ギャップ萌え」とコメディが生まれることは間違いありません。この「エリート能力の無駄遣い」感こそが、本作の大きな魅力です。
魅力その2:同人活動の「あるある」と魔界の「トンデモ」が交差する日常
本作は「同人物語」と銘打っている通り、「同人活動」がテーマの中心です。
同人活動には特有の苦労がつきものです。「ネタが浮かばない」「作画が終わらない」「入稿が間に合わない」「イベントで売れ残る」……。
そんな生々しい「同人あるある」の現実に、サキュバスという「トンデモ」な非現実がどう介入してくるのか。
例えば、莉奈が「締め切りがヤバい!」と叫んだら、サキュバスは「魅了の魔術」で編集者を操ってくれるのでしょうか? それとも「精気」を吸い取って莉奈を無理やりハイにし、徹夜させるのでしょうか?
同人活動のリアルな苦労と、サキュバスの非常識な(魔界の常識的な?)解決策。この化学反応こそが、本作でしか味わえない独自の面白さです。
魅力その3:ダラダラなのに刺激的? 「お色気」と「ギャグ」の黄金比
本作のジャンルは「ギャグ・コメディ」であり「お色気」であり「日常」です。
特筆すべきは、「お色気」要素が単なるファンサービスではなく、物語の必然として組み込まれている点です。なにしろ、相手は「サキュバス」なのですから。
物語の始まりも、サキュバスが「エロ本」に憤るシーンから。この時点で、作者は「お色気」から逃げないぞ、という強い意志表示をしています。
しかし、あくまで軸足は「ギャグ・コメディ」であり、「ダラダラ同棲日常コメディ」。つまり私たちが期待すべきは、「セクシーなハプニング」が起きても、即座に「ギャグのオチ」がつく、テンポの良い「お色気ギャグ」のコンビネーションです。この絶妙なバランス感が、クセになる理由です。
必見!物語のハイライト(※ネタバレなし)
ここでは、本作を読む上で絶対に注目してほしい「見どころ」を、ネタバレなしでご紹介します。
見どころ:「助かりたいなら私と契約しなさい」― 運命の契約シーン
あらすじを紹介するほぼ全ての資料で引用されている、このセリフ。これが本作の原点です。
「頭が真っ二つ」という、ギャグでなければ即死の状況下で、絶世の美女から告げられる「契約」のセリフ。シリアスとギャグ、絶望と希望がコンマ1秒で入れ替わる、本作の「常識が通用しない」世界観を象徴する最初のハイライトです。このシーンの勢いとビジュアルに、ぜひ注目してください。
名場面(予想):阿佐ヶ谷の六畳一間に「魔界」が出現する瞬間
これは、本作の設定から期待される「名場面」の予想です。
「阿佐ヶ谷」「同人作家」という言葉から連想されるのは、生活感あふれる散らかった六畳一間、積み上げられた資料、インクの匂いです。
一方、「エリートサキュバス」から連想されるのは、非現実的な美貌、翼、魔術的なエフェクト。
この二つが、同じ空間に存在します。
私たちが期待する名場面は、「エリートサキュバス」がその力を解放し、何か「荘厳な」魔術を使うシーンが、莉奈の「散らかった部屋」や「干しっぱなしの洗濯物」を背景に描かれる瞬間です。この「荘厳さ」と「生活感」の強烈なミスマッチこそが、本作で最も記憶に残る名場面になるはずです。
名言(期待):サキュバス様、それは「同人誌」です!
これは、二人の「動機のズレ」から期待される「名言(ツッコミ)」の予想です。
サキュバスは「エロ本」に興味を示し、「本物」の欲望を扱うプロフェッショナルです。
一方、莉奈が作るのは「同人誌」という「フィクション」です。
サキュバスが、莉奈の描いた(特にR-18の)同人誌を見て、「なぜ人間は、この程度の(ニセモノの)刺激で満足しているのだ?」と本質的な疑問を呈するかもしれません。
あるいは、同人誌に描かれたシチュエーションを「精気を吸うための効率的な方法」と勘違いし、阿佐ヶ谷の街中で実践しようとするかもしれません。
その時、莉奈が絶叫するであろう「(常識的にツッコむ)名言」こそが、本作のハイライトになると期待しています。
物語を彩る主要キャラクター
本作の魅力的な(?)二人組をご紹介します。
佐藤 莉奈(さとう りな):阿佐ヶ谷在住、崖っぷち同人作家
本作の主人公であり、おそらくはツッコミ役です。同人活動で「糊口をしのぐ」生活を送っていましたが、看板直撃という不運に見舞われます。サキュバスとの契約で命は助かったものの、奇妙な同棲生活と「同人界の天下取り」という無茶な目標に振り回されることになる、苦労人です。
謎の洋風美女(仮):コンビニのエロ本に憤る、超エリートサキュバス
もう一人の主人公。コンビニでエロ本(成人向け雑誌)が無いことに本気で怒り、莉奈が死にかけると「契約」を持ちかける、行動原理が謎の美女です。
あらすじの段階では、彼女の「名前」は明かされていません。「洋風美女」「エリートサキュバス」とだけ呼ばれています。このミステリアスな存在が、莉奈の「ザコ」な日常をどう変えてしまうのか。彼女の真の目的と名前こそが、物語序盤の大きなフックとなります。
もっと知りたい!『阿佐ヶ谷サキュバス同人物語』Q&A
さらに深く本作を知りたい方のために、Q&Aコーナーをご用意しました。
Q1:原作小説やゲームはある?
いいえ、ありません。
本作は、リサーチの限り、原作のない完全な「オリジナル漫画」作品です。作者・縁山先生の頭の中から生み出された、100%フレッシュな物語を体験できます。
Q2:どんな人におすすめ?
ズバリ、以下のような方におすすめです。
- 『邪神ちゃんドロップキック』や『小林さんちのメイドラゴン』のような、「異種族」が「人間界」で「ダメな日常」を送るタイプのギャグコメディが好きな方。
- 本作のテーマである「同人活動」の「あるあるネタ」にピンと来る方。
- 「お色気」要素は欲しいけれど、シリアスな展開より「ギャグ」で笑い飛ばしたい方。
- 「エリート」で「美人」なキャラクターが、「ザコ」な環境で苦労したり、常識の無さを露呈したりする「ギャップ萌え」が好きな方。
Q3:作者の「縁山」先生ってどんな人?
本作の作者は、縁山(へりやま)先生です。
読み方は「へりやま」先生(過去には「みどりやま」でも良いとコメントされたこともあるようですが)。
そして、ファンにとって非常に重要な情報があります。縁山先生は「全裸レストラン」という名前の「同人サークル」としても活動されている、現役の同人作家さんでもあるのです。
つまり、本作は「現役の同人作家」が「同人作家を主人公にした物語」を描いている、という非常に「メタ」で「信頼できる」構造を持っています。作中で描かれる「同人活動」の描写が、机上の空論ではない、作者自身の経験に基づいた「リアルなもの」であることは間違いありません。この「リアリティ」が、サキュバスという「ファンタジー」とぶつかるからこそ、本作のコメディは一級品になると期待できます。
過去作には「家庭教師なずなさん」などがあり、一貫してコメディや日常を得意とされている作家さんです。
Q4:タイトルの「阿佐ヶ谷」って何か意味があるの?
これは非常に重要なポイントだと考えられます。
もしタイトルが「秋葉原サキュバス」なら、もっとバトルやイベント中心の物語になったかもしれません。
「阿佐ヶ谷」は、新宿や秋葉原のような「大都市」ではなく、かといって完全に「郊外」でもない、「サブカルチャーが根付きつつも、生活感が色濃い町」の代表格です。
「阿佐ヶ谷」を舞台に選んだ時点で、この物語が「バトル」ではなく「ダラダラ同棲日常コメディ」であることを、作者は宣言しているのです。この絶妙な「生々しさ」と「日常感」こそが、阿佐ヶ谷という舞台の持つ意味です。
Q5:サキュバスものは初めてでも楽しめますか?
もちろん、全く問題ありません!
むしろ、サキュバスに関する知識が「ゼロ」の方が、主人公・莉奈と同じ目線で、サキュバスの「トンデモ」な言動に新鮮なツッコミを入れながら楽しめるかもしれません。
本作は「サキュバス」の伝承を深く学ぶ作品ではなく、「エリートサキュバス」という「ヤバい同居人」が引き起こす騒動を楽しむ「日常コメディ」です。ちょっと「お色気」なハプニングを笑って受け入れられる方なら、どなたでも大歓迎の作品です。
さいごに:新たな「日常コメディ」の傑作、予感しかありません!
「ザコザコ同人作家」と「エリートサキュバス」。
「阿佐ヶ谷の日常」と「同人界の天下取り」という野望。
「ダラダラ」な空気感と、必然的に発生する「お色気」。
これら全ての要素が「ギャグ・コメディ」として煮詰められた、縁山先生による期待の新連載、それが『阿佐ヶ谷サキュバス同物語』です。
果たして莉奈は、サキュバスの力を借りて(あるいは振り回されて)、同人界の頂点に立つことができるのでしょうか? それとも、阿佐ヶ谷の部屋で二人、ダラダラと同棲を続けるだけなのでしょうか?
この異色すぎるコンビがどんな化学反応を見せてくれるのか、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
このカオスな日常、乗り遅れる手はありませんよ!


