その呪文、サブスクですか?
現代社会において、「サブスクリプション(サブスク)」は私たちの生活にすっかり定着しました。動画配信、音楽ストリーミング、ソフトウェアの利用など、月額料金で様々なサービスを享受するのはもはや当たり前の光景です。
では、もし。
もし、ファンタジーの世界の象徴である「魔法」や「呪文」までもが、サブスクリプション化されていたとしたら?
「婚活の呪文、月額980円」「無くしたリモコンを引き寄せる呪文、1回100円」……そんな世界を描いたのが、今回ご紹介する漫画『おかけになった呪文は現在使われておりません』です。
本作の舞台は、まさに「呪文がサブスク化し誰でも気軽にアクセス可能になった現代」。そして、タイトルにもなっている「おかけになった呪文は現在使われておりません」というフレーズは、電話のアナウンスではなく、この世界における魔法の「リアル」を指しています。
この記事では、その斬新すぎる設定で話題沸騰中の『おかけになった呪文は現在使われておりません』(通称『おか呪』)の魅力を、あらすじからキャラクター、そして深掘りした考察まで、徹底的にご紹介します。
『おかけになった呪文は現在使われておりません』基本情報
まずは本作の基本情報を表でご紹介します。本作は複数の漫画アプリで連載されており、講談社が今まさに力を入れている注目作であることがうかがえます。
| 項目 | 内容 |
| 作品名 | おかけになった呪文は現在使われておりません |
| 原作 | ロケット商会 |
| 漫画 | 天宮ケイリ |
| 出版社 | 講談社 |
| 連載媒体 | 月刊少年シリウス, ニコニコ漫画 (水曜連載), コミックDAYS, マガポケ |
| ジャンル | 現代ファンタジー, 少年マンガ, スペルパンク |
魔法が「インフラ」になった世界観【作品概要】
本作の最大の魅力は、その緻密に練られた世界設定にあります。
「呪文がサブスク化し、誰でも気軽にアクセス可能になった」ということは、魔法が一部の特権階級のものではなく、電気やガス、インターネットのような「公共インフラ」として社会に組み込まれていることを意味します。
そして、インフラである以上、そこには必ず「ルール」と「管理組織」が存在します。
本作においてその役割を担うのが、なんと「総務省スペル・セキュリティ統括室」。彼らの任務は、サブスク化された呪文がバグや悪用によって暴走しないよう、「一般において危険な呪文を封印する」ことです。
ファンタジーの「魔法」を、オカルトや神秘としてではなく、「情報通信技術(ICT)」や「電波」に近いものとして定義し、実在の「総務省」が管轄している。この一点だけでも、本作が他の魔法漫画とは一線を画す、リアリティラインの確立に成功していることがわかります。
天才少女とエージェントが出会う時【あらすじ】
物語は、一人のエージェントが任務に赴くところから始まります。
主人公は、瀬川良星(せがわ りょうせい)。彼は「総務省スペル・セキュリティ統括室」に所属し、危険な呪文の封印を任務とする国家公務員です。
ある日、瀬川は任務のために「千葉県」へと向かいます。
そこで彼が出会ったのは、一人の少女。
彼女の名は、生天目潤見(なまため うるみ)。
彼女こそ、この物語のもう一人の主人公であり、「呪文作成において天才的な才能を持った」少女でした。
危険な呪文を「封印」する立場の堅物エージェントと、危険な呪文を「創造」できてしまう天才クリエイター。
この二人の出会いが、呪文(スペル)によって成り立つ現代社会の根幹を揺るがす事件へと発展していきます――。
「おか呪」はここが凄い!唯一無二の魅力と特徴
なぜ『おか呪』はこれほどまでに読者を惹きつけるのでしょうか。その唯一無二の魅力を3つのポイントに分けて解説します。
魅力1: 魔法×サブスク×総務省=!? 斬新すぎる世界設定
本作の面白さの根幹は、やはりこの「ありそうでなかった」設定の妙に尽きます。
「魔法」というファンタジーの王道要素。「サブスク」という現代のビジネスモデル。そして「総務省」という日本の中央省庁。
本来、全く交わるはずのないこれら三者を掛け合わせることで、「魔法使い=国家公務員」「危険な呪文=セキュリティホールのあるソフトウェア」という、ユニークな構図を生み出しています。
この「もしも」の設定が、ただの思いつきではなく、細部までリアルに作り込まれている点が本作の凄さです。
魅力2: 「歩きスマホ」ならぬ「歩き呪文」? 日常と地続きのリアリティ
本作の呪文は、私たちが日常で使う「スマートフォン」と非常に近い感覚で描かれています。
読者レビューの中には、「歩きスマホ禁止」「だから緊急性の高い操作にタッチを要求するなと」「ハンズフリーにしろ」といった、まるでスマホアプリのUI/UXに対する不満のようなコメントが見受けられます。
これは、この世界の「呪文」が、大仰な詠唱や魔法陣ではなく、デバイス(恐らくスマホ)でのタッチ操作によって起動されることを示唆しています。
魔法の「使い勝手の悪さ」や「ユーザーエラー」までもが、現代の私たちと地続きに描かれている。この日常感が、本作のリアリティを強固なものにしています。
魅力3: シリアスな任務とギャグの緩急!愛すべき「顔芸」
「危険な呪文の封印」という任務はシリアスですが、物語の雰囲気は決して暗くありません。
読者コメントでは、ヒロインの潤見に対して「かわいい」「顔芸がかわいいな」「うざ こ」といった愛着あるイジりが多数寄せられています。
これは、主人公の瀬川が「シリアス」な任務を遂行する堅物(ツッコミ役)であり、ヒロインの潤見が「コメディ」で「カオス」を巻き起こす天才(ボケ役)であるという、見事な役割分担が成立している証拠です。
この「堅物エージェントとウザかわいい天才少女」という王道のバディ・ダイナミクスが、シリアスな世界設定をエンターテイメントとして見事に昇華させています。
序盤のハイライト!名場面と名言
ここでは、ネタバレを避けつつ、物語序盤の「引き」となる見どころをご紹介します。
見どころ1: 第1話「婚活の呪文」が示す現代の”バグ”
記念すべき第1話のタイトルは、なんと「婚活の呪文」です。
「ファイアボール」でも「召喚術」でもありません。この世界の人々が、サブスク呪文を「婚活」という非常に現代的で個人的な欲望のために使っていることがわかります。
そして、その「婚活の呪文」が(恐らく)暴走したか、何らかのセキュリティ上の問題を起こしたために、総務省の瀬川が出動する羽目になる。この「現代的すぎる事件」こそが、本作のユニークな導入部であり、読者を一気に世界観に引き込みます。
見どころ2: 第2話「無くしたリモコンを手元に引き寄せる呪文」
第2話のタイトルも秀逸です。「無くしたリモコンを手元に引き寄せる呪文」。
これはもはや魔法というより「超便利ツール」であり、「それ、私も欲しい!」と共感する読者が続出するはずです。
本作では、このような「日常あるある」を解決する呪文が多数登場し、世界の解像度をぐっと高めています。
名言:「おかけになった呪文は現在使われておりません」
そして、本作のタイトルでもあるこのセリフ。これは、恐らく瀬川ら「総務省」側が、危険な呪文に対して行使する「封印(サービス停止)」のコード(あるいはアナウンス)でしょう。
読者レビューにも「アンロック呪文をロック…」という考察があるように、本作のバトルは、単純な呪文の撃ち合いではなく、「呪文の仕様」を巡る知的なハッキング合戦、すなわち「ロック(封印)」と「アンロック(解除)」の攻防になることが予想されます。
個性派揃い!主要キャラクター紹介
本作の魅力を牽引する二人の主人公をご紹介します。
瀬川良星(せがわ りょうせい): 危険な呪文を封印する総務省のエージェント
本作の主人公。総務省スペル・セキュリティ統括室に所属する国家公務員です。危険な呪文を「規制する側」の人間として、シリアスに任務をこなす堅物な人物として描かれます。破天荒な潤見に振り回される、苦労人のツッコミ役としての側面が強いようです。
生天目潤見(なまため うるみ): 天才的な才能を持つ孤高の呪文クリエイター
本作のヒロイン。「呪文作成において天才的な才能を持つ」少女です。常識にとらわれない「創造する側」の人間であり、その言動はレビューでも「顔芸」「うざい」と評されるほど個性的。彼女の天才的すぎる呪文が、物語の鍵を握るトリックスター的存在です。
もっと知りたい!『おか呪』深掘りQ&A
さらに本作を深く知るためのQ&Aコーナーです。
Q1: 原作は小説ですか?
はい、原作があります。本作は「ロケット商会」先生の原作を、「天宮ケイリ」先生が漫画化(コミカライズ)した作品です。
Q2: どんな読者に特におすすめですか?
「もしも」のSF(少し不思議)設定が好きな方、特に「現実のルール vs 異能」という構図が好きな方には強くおすすめします。
例えば、『攻殻機動隊』や『PSYCHO-PASS サイコパス』のような「官僚機構とテクノロジー」の描写と、魔法ファンタジーを同時に味わいたい、知的好奇心の強い読者には最適です。
また、潤見の「顔芸」に見られるように、シリアスな中にもしっかりとしたコメディ要素を求める読者も満足できるはずです。
Q3: 作者の先生はどんな作品を描いていますか?
- 原作:ロケット商会先生「カクヨム第1回web小説コンテスト」の現代アクション部門で大賞を受賞した『勇者のクズ』などで知られる、注目の小説家です。ハードなアクションやシリアスな設定構築に定評があります。
- 漫画:天宮ケイリ先生『ソロキャン沼のミネコさん』や『本日の優勝メシ』など、主に日常やグルメジャンルで活躍されている漫画家です。
一見すると、ハードな設定が得意な原作者と、ほのぼのとした日常を描くのが得意な漫画家という、ミスマッチにも思える組み合わせです。
しかし、これこそが本作の魅力の核となっています。ロケット商会先生が構築した「呪文セキュリティ」というハードなSF設定(骨格)に、天宮ケイリ先生の「日常」を描く確かな画力(肉付け)が組み合わさることで、「非日常(魔法)」が「日常(サブスク)」に溶け込んでいるという、本作独自の絶妙なリアリティラインを生み出すことに成功しています。
Q4: タイトルの「おかけになった呪文」の元ネタは?
これは、私たちが電話をかけた際によく耳にするNTTなどのアナウンス「おかけになった電話は、現在使われておりません」のパロディです。このタイトル自体が、Q&Aの回答で述べた「魔法=情報通信インフラ」という本作の世界観を、最も的確に表現しています。
Q5: 呪文は具体的にどうやって使うのですか?
読者レビューに「歩きスマホ禁止」「タッチを要求するな」といった、スマートフォン操作を連想させるコメントが多数あります。
このことから、本作の「呪文(サブスク)」は、スマホアプリのようにデバイス上で起動し、利用(アクセス)するものだと強く推測されます。
この構図で考えると、「スペル・セキュリティ統括室」はさながら魔法界の「App Store」を管理する検閲・運営チームであり、ヒロインの潤見は「野良アプリ(危険な呪文)」を開発する天才ハッカー(クリエイター)ということになります。このように考えると、物語がより深く楽しめるのではないでしょうか。
さいごに:新しい「魔法」の規約(ルール)を体験しよう
『おかけになった呪文は現在使われておりません』は、単なる魔法ファンタジーではありません。
本作の真の面白さは、「魔法」そのものではなく、「魔法がインフラ化し、現代社会のルール(規約)に縛られた世界」という、ユニークな舞台設定とそのリアリティにあります。
これは、魔法(スペル)が日常にパンクする「スペルパンク」とでも呼ぶべき、新しいジャンルの物語です。
ニコニコ漫画やコミックDAYS、マガポケなどでは、第1話が無料で公開されています。まずは第1話「婚活の呪文」を読んで、この「ありえそう」な世界のリアルな手触りを体験してみてください。
あなたが次に使いたいと思った呪文も、もしかしたら『現在使われておりません』とアナウンスされるかもしれません。


