はじめに:就活の「本音」、覗きませんか?
あなたは、就職活動の面接で完璧な「建前」を演じきった経験はありませんか?
「御社の理念に深く共感し」
「学生時代はリーダーとしてチームを牽引し」
心のこもっていない言葉を並べながら、「早く終わってくれ」と願う。そして同時に、目の前で微笑んでいる面接官の「本音」を、喉から手が出るほど知りたいと思ったことはないでしょうか。
現代社会、特に「就活」という舞台は、いかに本音を隠し、洗練された「仮面」を被るかを競う心理戦の場です。ある者は「嘘をつかない就活生を見つけることが最も難しい」と語るほど、そこは本音と建前が激しくぶつかり合う最前線です。
もし、その「仮面」を強制的に透過し、学生や同僚のドロドロとした「本音」が、すべて自分の頭に流れ込んできたら?
今回ご紹介するのは、そんな禁断の「if」を描き切った、スクウェア・エニックスが送る異色の「就活バトル漫画」、しそまる先生の『採用の仮面 心が読める下剋上内定』です。
この記事では、本作が「就活ファンタジー」とも称され、なぜ今、就活生からベテラン社会人まで多くの読者の心を掴んで離さないのか、その魅力の核心に、人事部さながらの鋭い目線で迫ります。
基本情報:『採用の仮面』の概要
まずは本作の基本的な情報について、表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
| 作品タイトル | 採用の仮面 心が読める下剋上内定 |
| 著者 | しそまる |
| 出版社 | スクウェア・エニックス |
| 連載媒体 | マンガUP! |
| ジャンル | 職業・ビジネス, ヒューマンドラマ, ギャグ・コメディ, 教養・学習 |
特筆すべきは、そのジャンルです。「職業・ビジネス」というリアリティ溢れるテーマでありながら、「ギャグ・コメディ」や「教養・学習」といった要素が同居している点に、本作の独自性が表れています。
作品概要:異色の就活エンターテイメント
本作を語る上でまず注目すべきは、出版社が「スクウェア・エニックス」であるという事実です。『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』など、日本を代表する「ファンタジー」作品の大家が、「職業・ビジネス」漫画を手掛ける。この組み合わせ自体が、すでに異色です。
しかし、読み進めればすぐに納得がいくはずです。本作は単なるリアルな職業ものではありません。
主人公が「人の心の声が聞こえる」という特殊能力に目覚めてしまう点こそが、スクウェア・エニックス的な「ファンタジー」要素なのです。
就活という、誰もが「建前」という名の仮面を被る舞台。そこで「本音」が制御不能に溢れ出す様は、まさに「本音ドバドバ!!」というキャッチコピーの通り。この設定が、ありきたりなビジネス漫画を一変させ、スリリングなエンターテイメントへと昇華させています。
「就活の闇と光」をえぐり出し、「就活バトル漫画」という新境地を切り開いた本作は、単なるお仕事漫画でも、単なる異能力バトル漫画でもない、唯一無二の就活エンターテイメント作品と言えるでしょう。
あらすじ:エリート人事を襲う突然の異変
物語の主人公は、人事部新卒採用課に所属するエリート社員、馬道透(まみち とおる)。
彼は「高学歴の学生を毎年多く採用」することで会社から表彰される、まさに採用のエキスパートです。彼の信念は「嘘をつかない就活生を見つけることが最も難しい」。学生の嘘や建前を見抜き、いかに優秀な「高学歴」の人材を確保するかを至上命題としていました。
しかし、ある出来事をきっかけに、彼の完璧だった日常が崩壊します。
突如、馬道は「人の心の声」が聞こえるという謎の能力に目覚めてしまうのです。
その力で聞こえてきたのは、完璧な受け答えをする高学歴学生の、あまりにも浅薄で欲望にまみれた「本音」でした。これまで彼が信じてきた「高学歴=優秀」という採用方針、そして彼自身のエリートとしての自負が、根底から覆されていきます。
溢れ出す本音の濁流に、馬道の人生は「狂い始め」ます。彼は、自らの採用方針を根本から変える決断に迫られることになるのです。
魅力、特徴:本作が「ヤバい」3つの理由
なぜ本作は、これほどまでに読者を惹きつけるのでしょうか。その「ヤバすぎる」魅力を、3つのポイントから徹底的に解剖します。
魅力①:元・採用担当の作者が描く圧倒的「実在感」
本作の最大の魅力は、作者しそまる先生の特異な経歴にあります。
先生は大学卒業後、大手小売業に勤務し、実際に「新卒採用」のインターンシップ開発などに携わっていたという、元・人事担当者なのです。
作中で描かれる「採用の闇と光」や、生々しい「人事部員同士の腹の探り合い」は、単なるフィクションとして描かれたものではありません。それらは、作者自身の実体験に裏打ちされた、圧倒的な「実在感」を伴っています。
ジャンルに「教養・学習」が含まれているのは、このためです。読者は「心が読める」という非現実的なファンタジー設定を通して、皮肉にも「現実の採用活動の裏側」や「ビジネスの生々しい力学」を学んでしまうのです。
この「ファンタジーによるリアルの暴露」という独自の構造こそが、本作の核心であり、元採用担当という作者の経歴が、その説得力を絶対的なものにしています。
魅力②:「Fラン VS 高学歴」の痛快下剋上バトル
タイトルにも含まれる「下剋上」は、本作のもう一つの柱です。「低学歴学生の成り上がり」という、実に痛快なテーマが熱く描かれます。
物語が進むと、馬道の前に一人の印象的な学生が現れます。それが、もう一人の主人公とも言える「Fラン大生」の桐島茜(きりしま あかね)です。
馬道がこれまで切り捨ててきた「低学歴」という属性。しかし、心が読めるようになった馬道は、学歴という「仮面」に隠された、桐島茜の真の「職務能力」の片鱗を見抜きます。
物語は、高学歴のトップ就活生たちとFラン大生の茜が、「年収1000万」の椅子を奪い合う「グループディスカッション」という名の「就活バトルロイヤル」へと発展していきます。
馬道が手に入れた「心が読める」能力は、この「下剋上」を痛快に演出するための、最高のスパイスとなっているのです。
魅力③:本音ダダ漏れ!ギャグと狂気の「顔芸」
本作は、シリアスな「職業・ビジネス」ドラマであると同時に、抱腹絶倒の「ギャグ・コメディ」でもあります。
その笑いの源泉は、面接官や学生たちが取り繕う完璧な「建前」の表情と、心の声(本音)としてダダ漏れになる下劣な思考や不安との、強烈なギャップです。
このギャップを視覚的に表現するのが、作中で多用される強烈な「顔芸」です。
取り繕ったエリート然とした笑顔の下で、本音の「顔」が欲望や嫉妬に歪む様は、もはやギャグであり、同時にサイコホラー的ですらあります。「本音ドバドバ」という状態は、馬道にとって情報アドバンテージであると同時に、いつ精神が崩壊してもおかしくないほどのストレスです。
この「ギャグ」と「狂気」が紙一重の緊張感こそが、読者を惹きつけてやまない強力なフックとなっています。
主要キャラクターの紹介
ここでは、本作を彩る主要な登場人物たちを紹介します。
馬道透(まみち とおる)
本作の主人公。人事部新卒採用課で働くエリート社員。
「高学歴」こそが正義と信じて採用活動を行っていましたが、ある日突然、他人の心の声が聞こえる能力に目覚めます。溢れ出す「本音」の濁流に「人生が狂い始め」ながらも、本当に会社に必要な人材とは何かを模索し始めます。
桐島茜(きりしま あかね)
本作の「下剋上」を体現するヒロイン。
学歴Fランクの大学に通う就活生。常識外れな行動力と熱意を持ち、高学歴のエリートたちが集う「就活バトルロイヤル」に真っ向から飛び込んでいきます。彼女の常識に縛られない「本音」が、馬道の凝り固まった採用方針を揺るがす鍵となります。
碇(いかり)
馬道の上司であり、人事部長。
「初任給改革」を打ち出し、学生たちの競争心を異常なまでに煽るなど、その行動の真意が読めない底の知れない人物。彼自身もまた、馬道にとっては脅威の一人です。
Q&A:『採用の仮面』をもっと知る
さらに深く本作を知るためのQ&Aをご用意しました。
Q1: 原作は小説ですか?
A1: いいえ、本作はしそまる先生によるオリジナルの漫画作品です。
しそまる先生が物語も作画も担当されています。「小説家になろう」や「カクヨム」などで連載されていた小説が原作というわけではなく、この「マンガUP!」で連載されている漫画がオリジナルとなります。
Q2: どんな人におすすめの漫画ですか?
A2: 以下のような方に特におすすめします。
- 就活生・元就活生の方:
「就活の闇と光」というテーマに、強烈な共感を覚えるはずです。ある種の「あるある」ネタとしても楽しめます。 - 人事・管理職の社会人の方:
「採用」の裏側や、生々しい「人事部員同士の腹の探り合い」など、リアルなビジネスドラマとして深く刺さるでしょう。 - 下剋上ストーリーが好きな方:
「Fラン大生 VS 超高学歴」という「低学歴学生の成り上がり」の展開に、胸が熱くなること間違いありません。 - 心理戦・頭脳戦が好きな方:
相手の「仮面」と「本音」を読み解き、いかにして採用(あるいは内定)というゴールにたどり着くか、スリリングな心理バトルが好きな方にも最適です。
Q3: 作者のしそまる先生について教えて下さい。
A3: しそまる先生は、非常にユニークな経歴をお持ちの漫画家です。
兵庫県神戸市出身で、大学卒業後は大手小売業に入社し、ご自身が新卒採用のインターンシップやデジタルコンテンツ開発に携わっていました。
2021年に「漫画家になる」という夢を叶えるために独立されています。『採用の仮面』で描かれる採用現場の生々しいリアリティは、すべてこの実務経験に基づいています。
他の作品として、ギャグ・コメディ/料理・グルメジャンルの『アイラさんの草野球飯』なども手掛けており、シリアスからコメディまで幅広く描ける実力派の作家です。
Q4: 「心が読める」能力は無敵のチート能力ですか?
A4: 非常に良い質問です。一見、採用活動において無敵の「チート能力」に思えますが、作中の描写ではむしろ「呪い」に近い側面を持っています。
一般的な異能力作品とは異なり、本作では主人公の馬道が能力を得たことで「人生が狂い始める」と明記されています。
なぜなら、その能力はON/OFFがコントロールできず、聞きたくもない「本音」が常時、ノイズとして流れ込んでくるからです。
優秀そうに見える学生のゲスな本音、信頼している上司の腹黒い本音、すべてが聞こえてしまう世界は、まさに地獄です。
したがって、本作の「ヒューマンドラマ」の核心は、「能力を使って無双する」ことではありません。「本音の濁流の中でいかに正気を保ち、自分自身も『仮面』を被り続け、そのノイズの中から“本物の”人材を見つけ出すか」という、主人公の苦悩と葛藤にあります。チート能力とは程遠い、過酷な能力と言えるでしょう。
さいごに:あなたの「本音」は仮面の下ですか?
『採用の仮面 心が読める下剋上内定』は、単なる就活攻略漫画や、お仕事紹介漫画ではありません。
それは、「心を読む」というファンタジーを通して、私たち現代人が社会で生きるために被っている「仮面」と、その下に隠した「本音」という、普遍的なテーマを鋭く問いかける作品です。
就活という舞台で嘘をついたことがある人も、今まさに組織の中で「仮面」を被って戦っている社会人も、誰もが馬道や茜の姿に、自分自身を重ねる瞬間が必ずあるはずです。
あなたは、誰の「本音」が知りたいですか?
そして、あなたの「仮面」の下には、今、どんな「本音」が隠されていますか?
このスリリングな「就活バトルロイヤル」の結末が気になる方は、ぜひスクウェア・エニックスの公式アプリ「マンガUP!」で、馬道たちが繰り広げる本音の戦いを覗き見てください。毎週日曜日に更新されています。


