脳髄に直接流し込まれる物語体験!『アンダー3』の世界へようこそ
「ずのーん!ジャスジャス!ザーン!バローム!」。
もしあなたが漫画に「わかりやすい物語」や「心温まる感動」を求めているのなら、残念ながらこの作品はおすすめできません。しかし、もしあなたが「まだ誰も見たことのない表現」「常識が破壊されるほどの衝撃」「脳が痺れるような読書体験」を求めているのなら、ようこそ。あなたは最高の作品に出会ってしまいました。
今回ご紹介する漫画『アンダー3』は、まさに「読む劇薬」。孤高のショート職人・榎本俊二先生が放つ、品性ゼロ以下の3人組が縦横無尽にかけまわる濃密ギャグ作品です。ある読者が「天才の脳髄の裏側を見せられた感じ」と評したように、本作は物語を読むというよりも、作者の脳内を直接体験するような、強烈でサイケデリックな魅力に満ちています。
この記事では、そんな危険で魅惑的な怪作『アンダー3』の世界に足を踏み入れ、その正体不明の魅力を徹底的に解剖していきます。この記事を読み終える頃には、あなたもこの劇薬を試してみたくてたまらなくなっているはずです。
一目でわかる『アンダー3』基本情報
まずは『アンダー3』の基本的な情報を確認しましょう。この作品がどのような立ち位置にあるのかを知ることで、その特異性がより際立ちます。
| 項目 | 内容 |
| タイトル | アンダー3 |
| 作者 | 榎本俊二 |
| 出版社 | 講談社 |
| 掲載誌 | 月刊アフタヌーン |
| ジャンル | 青年コミック, ギャグ・コメディ, 不条理ショート |
特筆すべきは、掲載誌が『月刊アフタヌーン』である点です。この雑誌は『蟲師』や『ヴィンランド・サガ』など、作家性の強い野心的な作品を数多く世に送り出してきたことで知られています。その中で本作が連載されているという事実は、講談社が『アンダー3』を単なる低俗なギャグ漫画としてではなく、挑戦的で芸術性の高い作品として位置づけていることの証左と言えるでしょう。この背景を知ることで、「品性ゼロ」の奥にある作者の確固たる信念が見えてきます。
これは物語か、それとも事件か?作品概要とあらすじ
作品概要
『アンダー3』の公式紹介文は、そのすべてを物語っています。
「メガネ美女と野郎2人が世界を股にかけて珍冒険!」。
「品性ゼロ以下の3人組が縦横無尽にかけまわる大活劇!」。
そして、読者への親切な警告とも言える一文。
「シモ好きにはタマラナイ、そしてシモ嫌いには害悪でしかないワンダー・アンダー・アドベンチャー!」。
この言葉通り、本作は読者を激しく選びます。しかし、一度ハマってしまえば二度と抜け出せない、麻薬的な魅力を持つ作品なのです。
あらすじ
『アンダー3』にあらすじを求めるのは、少し野暮かもしれません。なぜなら、本作には明確な起承転結のあるストーリーラインは存在しないからです。この作品は「怒濤のショート」と呼ばれる、独立した短いエピソードの連続で構成されています。
物語の中心となるのは、ミツオ、そう太、マリヨの3人組。彼らが日常の些細な出来事を、常人の理解をはるかに超えたシュールでグロテスク、そして非論理的な極地へとエスカレートさせていく。その「混沌のパターン」こそが、本作の「あらすじ」です。
この物語構造の欠如は、決して作品の欠点ではありません。むしろ、人生とは首尾一貫した物語などではなく、不条理で無関係な瞬間の連続である、という作者の哲学を反映した芸術的な選択なのです。読者は物語の結末を追うという安楽な読書から引き剥がされ、目の前で起きる「事件」そのものと向き合うことを強制されます。
あなたの常識を破壊する、『アンダー3』の3つの魅力
では、具体的に『アンダー3』の何がそれほどまでに読者を惹きつけるのでしょうか。その魅力を3つのポイントに絞って解説します。
息もつかせぬスピード感と濃密な不条理ギャグ
本作の最大の特徴は、公式紹介文にもある「濃密ギャグ」です。これは単にギャグの数が多いという意味ではありません。1コマの中に視覚的、言語的、概念的なギャグが幾重にも詰め込まれ、読者に思考の暇を与えない圧倒的なスピードで展開されます。この畳みかけるような展開は、読者の分析的な思考をショートさせ、より直感的で visceral な反応を引き出します。この手法には、かつて映画学校で脚本を学んだ榎本先生ならではの、映像的なカット割りの感覚が活かされているのかもしれません。
「読む人を選ぶ」エログロと下品さの美学
榎本俊二という作家は、デビュー以来「エログロ」と「シュールな作風」で知られています。『アンダー3』もその例に漏れず、「シモ好き」のために描かれたと公言されるほど、下品で過激な表現に満ちています。しかし、その下品さは単なる悪趣味やショック狙いではありません。それは社会規範や漫画というメディアの常識そのものに抵抗する、芸術的な「逸脱」の手段なのです。「下品」で「残酷」な表現を突き詰めることで、あらゆる建前や遠慮を取り払った、ある種の純粋な表現の高みに到達しています。これこそが『アンダー3』の持つ、危険な「美学」なのです。
藤本タツキも絶賛!クリエイターをも魅了する革新性
この漫画の価値を証明するものとして、『チェンソーマン』の作者である藤本タツキ先生からの推薦コメントがあります。
「今、下品で新しい事に真摯に向き合っている漫画は『アンダー3』です!」。
このコメントで最も重要な単語は「真摯に」です。奇抜さと感動を融合させる達人である藤本先生は、榎本先生の「下品で新しい事」への探求が、安易なウケ狙いや怠慢ではなく、誠実で献身的な芸術活動であることを見抜いています。この推薦は、榎本先生というベテランの前衛作家と、現代の漫画界の最先端を繋ぐ架け橋となり、新しい世代の読者に対して本作の重要性を保証しています。
記憶に焼き付く狂気の瞬間!名場面と名言を徹底解説
『アンダー3』は特定のストーリーがないため、「名場面」は物語の転換点ではなく、読者の脳に焼き付いて離れない表現そのものにあります。
「ずのーん!ジャスジャス!」- 言葉を超えた表現
作品紹介で繰り返し登場する「ずのーん!ジャスジャス!ザーン!バローム!」という擬音。これらは単なる効果音ではありません。これは本作の混沌としたエネルギーそのものを表す「メタ言語」です。通常の言葉では到底表現不可能な、極度の不条理が発生した瞬間に現れるこの呪文は、もはやギャグであり、作品のテーマであり、読者への挨拶でもあるのです。
理屈不要!思考を停止させるビジュアル体験
「天才の脳髄の裏側を見せられた感じ」という感想が示す通り、本作の魅力は理屈を超えたビジュアル体験にあります。榎本先生の「誰も観たことのない構図」と、もはや「執念とも言える描き込み量」で描かれたアートは、読者の論理的思考を麻痺させるためにデザインされています。『アンダー3』の「名場面」とは、物語の重要な局面ではなく、あまりの奇妙さに見た者の記憶に永遠に刻み込まれてしまう、狂気に満ちた1コマ1コマなのです。
この3人、ヤバすぎる!主要キャラクター紹介
この混沌の世界を生きる(そして作り出す)主要な登場人物たちを紹介します。
ミツオ&そう太:暴走する品性なき野郎ども
本作の混沌を生み出す2つのエンジン。彼らは人間の欲望を剥き出しにしたような存在であり、あらゆる状況を破滅的な方向へと導く天才です。彼らの行動に論理や常識は一切通用しません。
マリヨ:作者の性癖が生んだサディスティック美女
作者の榎本先生自らが「自分の好みで」「性癖のオンパレードみたいなキャラクター」と語る、メガネをかけたサディスティックな美女。彼女は単なる登場人物ではなく、作者の欲望がそのままキャラクターとして現れたという、メタ的な存在でもあります。作者の「独特の美女を描くことに定評がある」という評価を体現したキャラクターであり、物語の参加者であると同時に、作者の奔放な創造性の象徴でもあるのです。
もっと知りたい!『アンダー3』深掘りQ&A
ここまで読んで、さらにこの奇妙な作品について知りたくなったあなたのために、一歩踏み込んだQ&Aをご用意しました。
Q1: この漫画に原作はありますか?
いいえ、ありません。本作は榎本俊二先生の完全オリジナル作品であり、その唯一無二の脳内から直接生み出されたものです。
Q2: どんな人におすすめの漫画ですか?
ありきたりな物語に飽き飽きしている方、実験的で作家性の強い作品が好きな方、不条理やシュールレアリスムを愛する方、そして藤本タツキ先生のような常識の枠を壊すクリエイターのファンに特におすすめです。逆に、心穏やかな読書、一貫性のある物語、家族で楽しめるユーモアを求める方には絶対におすすめできません。
Q3: 作者の榎本俊二先生はどんな方ですか?
1968年生まれの漫画家です。元々は日本映画学校で脚本を専攻していましたが、集団作業が苦手であることに気づき、一人で完結できる漫画家の道へ進んだという異色の経歴の持ち主です。その作品は、エログロの金字塔と評される『えの素』から、画期的な育児エッセイ漫画『榎本俊二のカリスマ育児』まで、極端な振れ幅を持つことで知られています。まさに漫画界の常識から外れた「孤高のショート職人」と呼ぶにふさわしい鬼才です。
Q4: タイトルの『アンダー3』にはどんな意味があるのですか?
一部では、このタイトルはアメリカの伝説的なミュージシャン、トム・ウェイツの楽曲に由来するのではないかと示唆されています。トム・ウェイツは、しゃがれた声と実験的な音楽性、そして社会の底辺やグロテスクな題材を詩的に歌い上げる作風で、多くのアーティストからリスペクトされる孤高の存在です。彼の有名曲に『Under 3』というタイトルのものはありませんが、その精神性—主流に媚びず、醜さの中にある美しさを描き出す芸術家の魂—は、榎本先生の作風と深く共鳴します。このタイトルは、文字通りの引用ではなく、自身がトム・ウェイツのような前衛芸術の系譜に連なる存在であるという、作者による静かな宣言なのかもしれません。
Q5: 他のギャグ漫画と決定的に違う点は何ですか?
決定的な違いは、その「目的」にあります。多くのギャグ漫画は、共感できるシチュエーションや巧みな言葉遊びで読者を楽しませ、笑わせることを目的としています。しかし『アンダー3』の目的は、読者を「圧倒する」ことです。ギャグというフォーマットを、笑いのためだけでなく、純粋で無濾過な芸術表現を叩きつけるための手段として利用しています。それは時に「面白い」という感情を通り越し、読者を困惑と衝撃の状態に置き去りにします。これはもはやコメディではなく、紙の上で演じられる過激なパフォーマンスアートなのです。
さいごに:この”劇薬”を体験する覚悟はできましたか?
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
漫画『アンダー3』は、気軽に楽しめるエンターテイメントではありません。それはあなたの漫画観を根底から揺さぶり、脳に新たな回路を焼き付ける「劇薬」であり、「ワンダー・アンダー・アドベンチャー」です。
もしあなたが日常の退屈を打ち破るほどの強烈な刺激を求めているのなら、どうか恐れずにこの作品のページを開いてみてください。そこには、常識の彼岸でしか見ることのできない、狂おしいほどに美しく、自由な世界が広がっています。
さあ、榎本俊二という天才の深淵を覗き込む覚悟はできましたか?
興味を持った方は、まずは無料の試し読みから、その世界の一端に触れてみることをお勧めします。ただし、一度踏み入れたら、もう元の世界には戻れないかもしれません。


