はじめに:今、注目の天国学園ファンタジー
もし、まだ何も知らない10歳で人生が終わってしまったら?
もし、生前、病気で一度も学校に通うことができなかったとしたら?
そんな、あまりにも切ない問いかけから物語は始まります。ですが、本作は「終わり」の物語ではありません。「始まり」の物語です。
今回ご紹介するのは、集英社の『りぼん』で大好評連載中、こきち先生が描く最新作『えんじぇるめいと』。本作の舞台は、なんと「天国」にある学校、≪えんじぇる学園≫です。
これは、死んでしまった主人公・のわが、天国で「初めての学校生活」を経験し、「止まっていた気持ち」を再び動かしていく、「天使界隈な学園ファンタジー」。
なぜ今、この作品が多くの読者の心を掴むのか。その唯一無二の世界観と魅力を、本記事で徹底的に解き明かしていきます。
『えんじぇるめいと』の基本情報
まずは、本作の基本的な情報を表にまとめます。『えんじぇるめいと』の世界への入り口として、基本情報を押さえておきましょう。
| 項目 | 内容 |
| 作品名 | えんじぇるめいと |
| 作者 | こきち |
| 出版社 | 集英社 |
| 掲載雑誌 | りぼん |
| ジャンル | 学園ファンタジー、天使界隈 |
作者のこきち先生は、前作『るるてる ルル魔法学校においでよ』でも、ファンタジー世界での学園生活を瑞々しく描き、多くのファンを獲得しました。そのこきち先生が、満を持して『りぼん』本誌で描く新たな物語が、この『えんじぇるめいと』です。
作品概要:舞台は天国の「えんじぇる学園」
『えんじぇるめいと』の舞台は、私たちが生きる世界とは少し違う、死後の世界「天国」です。
主人公たちが通うことになる≪えんじぇる学園≫は、半人前の天使が一人前の天使になるために通う、特別な学校。生を終えた子供たちが、ここで新たな「生徒」として迎え入れられます。
この学園には、非常に重要なルールが存在します。それは、授業や試験など、すべての成績が「2人1組のペア」でつけられる、というもの。
この「ペア制度」こそが、物語の根幹を成す重要な設定です。
そもそも、なぜ彼らは「半人前の天使」なのでしょうか。それは、彼らが10歳という若さで亡くなってしまった「子供」であり、多くの経験や感情を知らないまま、人生を終えてしまったからです。
つまり、この≪えんじぇる学園≫は、単に天使としてのスキルを学ぶ場所ではありません。生前には叶わなかった「青春」や「学園生活」そのものを経験し、心の傷を癒し、止まっていた時間を動かし、精神的に成長するための「インキュベーター(孵卵器)」のような場所なのです。
あらすじ:止まっていた時間が動き出す物語
主人公の「のわ」は、10歳の女の子。
少し前に病気で死んでしまった彼女は、天国にある≪えんじぇる学園≫に入学します。生前は病気がちで、一度も学校に通えたことがなかったのわ。彼女にとって、この天国での学園生活は、文字通り「初めての学校生活」でした。
学園のルールは、前述の通り「2人1組」のペア制度。
しかし、クラスメイトたちが次々とペアを決めていく中、のわは「余り物同士」として、一人の男の子と組むことになってしまいます。
その相手は、「んと」。
彼は、≪えんじぇる学園≫の生徒たちから「悪魔」と恐れられている少年でした。
「超自己中で毒舌」。それが、のわのペア相手・んとの評判です。
「悪魔」と呼ばれるペアメイトとの、前途多難な学園生活。
最初は、自己中心的で口の悪いんとに戸惑うのわ。けれど、彼と関わっていくうちに、のわは気づき始めます。
んとは、確かに毒舌だけれど、決して嘘はつかず、「まっすぐに向き合ってくれる」存在である、と。
生前、病室で止まっていた、のわの気持ち。
その止まっていた時間が、この天国で、悪魔と呼ばれる少年との出会いによって、再び大きく動き出すのです。
本作の魅力と特徴:光と影の絶妙なコントラスト
『えんじぇるめいと』が読者を引き込む力は、単なる設定の奇抜さだけではありません。こきち先生が紡ぐ、光と影の絶妙なコントラストにこそ、本作の真の魅力が詰まっています。
魅力1:切なくも温かい、唯一無二の世界観
最大の魅力は、その世界観の二面性です。
「天国」という言葉の響きは明るいですが、そこは「10歳で死んでしまった」子供たちが集う場所。この根源的な「死」の切なさが、常に物語の根底に流れています。
しかし、こきち先生はそれを暗く描くのではなく、「初めての学園生活」という希望に満ちた舞台装置として昇華させています。
ファンタジー作品が普段あまり得意でない読者でさえ、「この世界観は面白い」と引き込まれる、人間ドラマの強さが魅力です。
魅力2:愛らしい絵柄で描かれる、ビターな感情
こきち先生の描くキャラクターは、読者レビューでも「とにかく可愛い!」と絶賛されるほど、柔らかく愛らしいタッチが特徴です。主人公のわはもちろん、ペア相手のんとも、そのビジュアルは非常に魅力的です。
しかし、その可愛らしい絵柄で描かれる内容は、時として非常にシリアスでビターです。
「悪魔」と呼ばれるほどの「毒舌」、そして後に明らかになる「生前の記憶だけは人に教えられない」という重い秘密。
この「可愛い絵柄」と「シリアスなテーマ」のギャップこそが、キャラクターの感情に深い奥行きを与え、読者を惹きつけてやみません。
魅力3:王道と革新が融合したキャラクター造形
まっすぐで素直な主人公・のわ。
そして、自己中心的で口は悪いけれど、実は……というペア相手・んと。
骨格となっているのは、レビューでも「お互いのいいところを知り、仲良くなった」と評されるように、「王道のボーイ・ミーツ・ガール」であり、読者が最も感情移入しやすい「初恋」の物語です。
しかし、その舞台が「死後の世界」であるという一点が、この王道に「革新」をもたらしています。彼らが経験するすべての出来事が、生前には決して得られなかった「セカンドチャンス」であるという切実さが、彼らの「初恋」を、読者にとって忘れられない唯一無二の物語にしています。
見どころ:「悪魔」と天使の不均衡な関係
『えんじぇるめいと』を読み進める上で、特に注目してほしい「見どころ」を3つのポイントに絞ってご紹介します。
見どころ1:「悪魔」んとのギャップと「デレ」
やはり最大の見どころは、ペア相手・んとのキャラクター性です。
「超自己中で毒舌」と評される彼が、まっすぐなのわと関わることで、ふとした瞬間に見せる不器用な優しさ。いわゆる「ギャップ萌え」の破壊力は絶大です。
「余り物同士」だった二人が、学園生活を通じてお互いの「いいところ」を発見し、誰よりもお互いを理解する特別な存在になっていくプロセスは、少女漫画の醍醐味そのものです。
見どころ2:んとの「生前の記憶」という謎
物語の核心を突くミステリー要素、それがんとの「生前の記憶」です。
コミックスのあらすじにも「生前の記憶だけは人に教えられないようで…!?」とあるように、彼が隠している過去が、物語の重要な鍵を握っています。
なぜ、彼は「悪魔」と呼ばれるようになったのか?
なぜ、彼は「自分の望みはなんでも叶えたい主義」を公言するのか?
彼が頑なに隠す生前の記憶が、のわとの関係にどのような影響を与えていくのか、目が離せません。
見どころ3:のわが「初めて」を経験する瞬間
生前、学校に行けなかったのわにとって、≪えんじぇる学園≫での日々は、すべてが「初めて」の連続です。
初めての授業、初めての試験、初めての友達、そして、初めての「初恋」。
「止まっていた気持ちが動き出す」瞬間。
のわが「楽しい」「嬉しい」「悔しい」「悲しい」といった生身の感情を取り戻し、人間として、そして天使として成長していく姿は、読者の心を強く打ちます。
特に注目すべきは、んとの「まっすぐに向き合ってくれる」態度です。生前、病弱だったのわは、周囲から「優しく、気を遣われて」生きてきたかもしれません。そんな彼女にとって、んとからの「容赦ない本音(毒舌)」こそが、彼女を「一人の対等な人間」として扱ってくれる、初めての「まっすぐな」コミュニケーションだったのではないでしょうか。
主要キャラクターの紹介
本作の魅力を牽引する、二人の主人公をご紹介します。
のわ (Nowa)
本作の主人公。10歳で病気により亡くなり、≪えんじぇる学園≫に入学した女の子。
生前は一度も学校に通ったことがなかったため、天国での「初めての学園生活」に、戸惑いながらも目を輝かせます。
素直でまっすぐな性格の持ち主。「悪魔」と呼ばれるんとのことも恐れず、彼の内面にある優しさを見抜こうとする芯の強さを持っています。彼女の「止まっていた時間」が、んととの出会いによって動き出します。
んと (Nto)
のわのペア相手となった少年。
「超自己中で毒舌」「自分の望みはなんでも叶えたい主義」を公言し、周囲からは「悪魔」と呼ばれ恐れられています。
しかし、その言動の裏には、誰にも言えない「生前の記憶」が深く関わっているようです。口の悪さとは裏腹に、のわに対しては「まっすぐに向き合ってくれる」不器用な誠実さも持ち合わせています。
この二人の関係性は、まさに光と影。生前、「学校に行く」という望みさえ持てなかったであろうのわと、「自分の望みはなんでも叶えたい」と強く固執するんと。望みを持てなかった少女と、望みに固執する少年。この二人が「余り物同士」としてペアになるのは、必然だったと言えるでしょう。
『えんじぇるめいと』Q&A
ここまで読んで、作品に興味を持ってくださった方の疑問にQ&A形式でお答えします。
Q1: この作品は原作小説などがありますか?
A1: いいえ、ありません。
本作は、こきち先生による完全オリジナルの漫画作品です。『りぼん』で連載中の、こきち先生の魅力が100%詰まった最新作ですので、ぜひ漫画で彼らの物語をお楽しみください。
Q2: どのような読者におすすめですか?
A2: まず、こきち先生の前作『るるてる』が好きだった方には、絶対におすすめできます。
また、「可愛い絵柄のファンタジー作品」が好きな方、「学園モノ」が好きな方、そして「悪魔」と呼ばれるような「毒舌だけど本当は優しい」男の子のギャップや、ピュアな「初恋」の物語が好きな少女漫画ファン全般に、広く、強くおすすめしたい王道の作品です。
Q3: 作者のこきち先生について教えて下さい。
A3: こきち先生は、『るるてる ルル魔法学校においでよ』などのヒット作で知られる、今『りぼん』で最も注目されている作家のお一人です。
『るるてる』も「魔法学校ファンタジー」であったように、こきち先生は「ファンタジー世界での学園生活」を、現代的な感性と愛らしい絵柄で、非常に瑞々しく描くことを得意とされています。
Q4: 本作の「天使」は他作品とどう違いますか?
A4: (オリジナル質問です)
本作の「天使」が非常にユニークなのは、彼らが「完璧な神の使い」のような存在ではない、という点です。
彼らは「死んでしまった子供」であり、あくまで「半人前」の生徒です。天国で「初めての学園生活」や「初恋」を経験し、生前に「止まっていた気持ち」を取り戻していく過程にあります。
一般的な天使が「人間を導く存在」だとすれば、『えんじぇるめいと』の天使たちは、天国で自分自身の「生き直し(青春のやり直し)」を学んでいる、私たちと変わらない心を持った、とても人間らしい存在と言えるでしょう。
さいごに:天国で見つける「初めて」の輝き
こきち先生が描く『えんじぇるめいと』は、単なる学園ファンタジー漫画ではありません。
それは、「死」という終着点から始まる、新しい「生」と「初めて」の物語です。
生前、何も経験することができなかった主人公のわ。
彼女が天国という舞台で、最悪の評判を持つ「悪魔」の少年・んとと出会い、戸惑い、反発しながらも、お互いを理解し、かけがえのないパートナーになっていく。
その姿は、現実世界で何かを諦めてしまったり、停滞感を感じたりしている、私たち自身の「止まっていた気持ち」をも、優しく動かしてくれるはずです。
天国で始まる、最高で最強のファースト・スクールライフ。
こきち先生が描く、切なくもどこまでも温かい世界が、あなたを待っています。
あなたも、のわとんとが織りなす、奇跡のような物語のページをめくってみませんか?


