幽霊より人間が怖い?実話ルポ漫画『日本に実在する怖い村について』徹底レビュー

日本に実在する怖い村について ヒューマンホラー
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あなたの隣にある「異界」への招待状

普段何気なく見ている日本地図。その中には、決して足を踏み入れてはいけない場所や、歴史の闇に葬られた集落が存在することをご存知でしょうか。

今日ご紹介するのは、単なるオカルトや都市伝説の枠を超え、圧倒的なリアリティで「村社会の闇」に切り込んだ漫画作品『日本に実在する怖い村について』です。

幽霊が出るといった超常現象的な怖さだけではなく、そこに住む人々の情念や、閉鎖的なコミュニティが生み出す狂気。いわゆる「人怖(ヒトコワ)」の要素がふんだんに盛り込まれた本作は、読む人の倫理観や好奇心を強く揺さぶります。

なぜ、私たちは怖いもの見たさに駆られるのか。その答えが、この一冊にあるかもしれません。

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基本情報

項目内容
作品名日本に実在する怖い村について
著者(漫画・レポート)村田らむ
著者(監修・協力)山口敏太郎
出版社宝島社
レーベルこのマンガがすごい!comics
価格990円(税込)
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徹底的な現場取材に基づいた「実録ルポ漫画」

本作の最大の特徴は、これがフィクションではなく、著者が実際に現地へ足を運び、関係者に取材を行った「実話」に基づいているという点です。

潜入取材のスペシャリストである村田らむ氏と、オカルト研究の第一人者である山口敏太郎氏がタッグを組み、タブー視される地域や事件現場の実態を暴き出しています。インターネットで検索しても出てこない情報や、現地に行かなければ分からない空気感が、漫画というメディアを通して生々しく伝わってきます。

単に「怖がらせる」ことだけを目的とせず、過疎化や差別といった日本の社会問題をも浮き彫りにする、社会派ドキュメンタリーとしての側面も持ち合わせています。

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日本の暗部を巡る全8話の戦慄

本書には、日本各地に点在する「怖い村」にまつわるエピソードが全8話収録されています。その中から、特に印象的なトピックをいくつかご紹介しましょう。

まず、昭和史に残る凄惨な事件「津山三十人殺し」。横溝正史の『八つ墓村』のモデルとしても有名ですが、本作では事件の生存者への直接取材を敢行しています。犯人が凶行に及んだ背景にあった村の人間関係や因習が、生存者の口から語られます。

また、大人気ホラーゲームのモデルになったといわれる廃村への潜入レポートも収録されています。ゲームの中で描かれた恐怖の舞台が、現実にはどのような場所なのか。そこに残された生活用品や廃墟の様子からは、かつてそこで暮らしていた人々の息遣いすら感じられます。

その他にも、隠れキリシタンの里、現代にも残る村八分の実態、地図から消された都市伝説の村など、バラエティに富んだ、しかしどれも背筋が凍るようなエピソードが満載です。

綺麗事一切なしの圧倒的な「現場力」

この漫画の魅力は、何と言っても著者・村田らむ氏による容赦のない描写にあります。

通常の漫画であれば、絵的に映えるように美化したり、不潔な部分を省略したりすることがありますが、本作ではそういった配慮は一切ありません。ゴミ屋敷の汚れ、廃村の朽ち果てた家屋、取材相手の険しい表情などが、そのままの質感で描かれています。

この「汚さ」や「不気味さ」こそが、読者に現場の臭いや湿度を想像させ、没入感を高める重要な要素となっています。飾らないからこそ、そこにある恐怖が本物であることが伝わってくるのです。

オカルトとジャーナリズムの融合

ただ現場に行くだけでなく、そこに山口敏太郎氏による民俗学的・オカルト的な解説が加わることで、物語に深みが生まれています。

「なぜその場所が怖いと言われるのか」「その噂の根底にはどのような歴史的背景があるのか」。山口氏の豊富な知識が、村田氏の体験した事象を裏付け、単なる体験談から一つの文化的な考察へと昇華させています。

「体当たり取材」と「博識な解説」のバランスが絶妙で、知的好奇心を満たしながら恐怖を味わうことができます。

現代社会への鋭い問いかけ

本作で描かれる「村」の姿は、決して遠い世界の話ではありません。

閉鎖的なコミュニティでの同調圧力や、異質なものを排除しようとする心理は、現代の学校や職場、SNS上のコミュニティにも通じるものがあります。「村八分」のエピソードなどは、形を変えて私たちの身近でも起こり得ることだと気づかされたとき、本当の恐怖が襲ってきます。

幽霊よりも、生きている人間や社会システムの方が怖い。そんな「人怖」の真髄を味わえるのが本作の大きな特徴です。

村田らむ:タブーを恐れぬ特攻隊長

ホームレス取材や樹海探索、ゴミ屋敷清掃など、誰もやりたがらない汚れ仕事や危険地帯への潜入を得意とするルポライター兼漫画家です。本作でも、クマの出没におびえたり、地域住民に怪しまれたりしながらも、決して引き下がらずに現場の奥深くまで入り込んでいきます。そのバイタリティと、対象を冷静に観察する目はまさにプロフェッショナルです。

山口敏太郎:オカルト界の頼れる頭脳

妖怪、都市伝説、UMAなど、あらゆる不思議現象に精通する作家・オカルト研究家です。本作では監修として、村田氏の取材に対して知識面でのバックアップを行っています。感情的に怖がるのではなく、論理的に恐怖の正体を分析する姿勢が、作品に説得力を与えています。

Q1 原作や元になった書籍はありますか?

はい、あります。本作は2016年に刊行された『マンガ 実録!日本の怪村 絶対に行ってはいけない村』を改訂・改題したものです。過去に同作を読んだことがある方にとっては再読となりますが、改めて文庫やコミックスとして手元に置いておきたい一冊として再編集されています。

Q2 どのような人におすすめですか?

ホラー映画や怪談が好きな人はもちろんですが、特に「廃墟マニア」や「歴史ミステリー好き」、そして「社会の裏側を知りたい人」におすすめです。心霊現象そのものよりも、その場所が廃墟になった経緯や、人間ドラマに興味がある人であれば、間違いなく楽しめるでしょう。逆に、純粋なエンタメとしてのジャンプスケア(驚かせ要素)を求める人には少し重すぎるかもしれません。

Q3 著者の村田らむさんは他にどんな作品を描いていますか?

村田らむさんは、『危険地帯潜入調査報告書』や『樹海考』、『人怖』シリーズなど、数多くのルポルタージュ作品を手掛けています。いずれも現場取材に基づいた濃厚な内容で、社会の底辺や暗部を容赦なく描くスタイルが高く評価されています。本作が気に入った方は、ぜひ他の作品もチェックしてみてください。

Q4 読後感は悪いですか?

正直に申し上げますと、決して「スカッとする」読後感ではありません。解決しない問題や、救いのない現実が描かれることも多いため、読んだ後に少しどんよりとした気持ちになるかもしれません。しかし、それこそが「現実」を見るということであり、この作品の質の高さを証明しています。怖いもの見たさでページをめくる手が止まらなくなる、中毒性のある読後感と言えるでしょう。

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さいごに

『日本に実在する怖い村について』は、単なる暇つぶしの漫画ではありません。それは、私たちが暮らす日本の、見ないふりをしていた一面を突きつけてくる衝撃作です。

もしあなたが、安全地帯から一歩踏み出し、知られざる「異界」を覗いてみたいと思うなら、ぜひこの漫画を手に取ってみてください。ただし、読み終わった後、いつもの風景が少し違って見えても、それは自己責任です。

興味を持たれた方は、ぜひ書店や電子書籍でチェックしてみてください。あなたの知らない日本が、そこで待っています。

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