「完璧なスペックを持つエリート編集者が、売れてもいないし、金もなく、平凡なおっさんの小説家に本気で恋をしている」。
この設定だけで、従来の王道恋愛漫画とは一線を画す、深くて少しビターな物語を想像させますよね。ですが、本作『これが恋だと知っている』は、それだけでは終わりません。
その秘められた恋に、「待った」をかける一人の謎めいた少女が登場します。しかも、彼女は主人公の弱みを握り、とんでもない「脅迫」を突きつけてくるのです。
この記事では、漫画家・かねもと先生が描く、一筋縄ではいかない「ハイテンション・トライアングル・ラブ」の魅力について、あらすじや登場人物を交えながら徹底的にご紹介します。
少し歪(いびつ)で、スリリングで、それでいて切ない。そんな予測不能な恋の物語に触れてみませんか? きっと、あなたもこの奇妙な三角関係の行方を見届けたくなるはずです。
まずは基本情報をチェック!漫画『これが恋だと知っている』とは?
物語の魅力に触れる前に、まずは『これが恋だと知っている』の基本的な書誌情報を確認しておきましょう。どういったレーベルで、どのようなジャンルに分類されているのかを知ることで、作品の持つ独特の雰囲気が見えてきます。
| 項目 | 内容 |
| 作品タイトル | これが恋だと知っている |
| 著者 | かねもと |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 掲載レーベル | ビームコミックス |
| ジャンル | 青年マンガ, 恋愛 |
予測不能な恋の行方!『これが恋だと知っている』の作品概要
本作『これが恋だと知っている』は、作品紹介で「ハイテンション・トライアングル・ラブ!」と銘打たれています。
特筆すべきは、掲載レーベルが「ビームコミックス」である点です。ビームコミックスといえば、個性的でエッジの効いた、オルタナティブな作風の作品を多く世に送り出しているレーベルとして知られています。
そのレーベルから「青年マンガ」として刊行されていることからも、本作が単なるキラキラした甘い恋愛物語ではないことが伺えます。大人の読者にこそ刺さる、人間の感情の複雑さや、ままならない関係性を深く描いた作品と言えるでしょう。
物語の軸となるのは、エリート編集者である主人公「青葉詩音(あおば しおん)」、彼が密かに想いを寄せる「売れないおっさん小説家」、そして二人の関係に突如割り込んでくる謎の少女「果成乃(かなの)」の3人。
このいびつな3人が、どのようにして「ハイテンション」な三角関係を織りなしていくのか。それが本作最大の読みどころです。
「私とおじさんを恋人にしろ」!? 衝撃展開のあらすじ
本作の主人公は、丸川社文芸部に勤める敏腕編集者・青葉詩音(あおば しおん)。彼は有名大学を卒業し、編集部でも期待されるエリートです。おまけに背も高く、見た目も悪くないという、まさに完璧なスペックの持ち主。
しかし、そんな彼が長年、密かに想いを寄せている相手は、担当作家ですらありません。彼が恋しているのは、「売れてもいないし、金もなく、平凡なおっさんの小説家」(作中では主に「先生」と呼ばれています)なのです。
詩音は、「気持ちが届かなくても、ただ好きなだけでいい」と、その報われない感情を胸の内に秘め、良き編集者として、また一人のファンとして「先生」と接していました。
しかしある日、その均衡は脆くも崩れ去ります。
詩音は、泥酔した「先生」を家まで送っていくことになりました。無防備に眠る「先生」を前に、長年抑え込んできた想いが溢れ出してしまいます。そして詩音は、思わず彼にキスをしようとしてしまうのです。
しかし、その決定的瞬間……その一部始終が、一人の少女に目撃されてしまいます。
彼女は「先生の娘(?)」を名乗る少女。彼女は、詩音の「先生への恋心」という最大の弱みを握ると、冷たくこう言い放ちます。
「私とおじさんを恋人にしろ」と──。
秘めていた恋心が、最悪の形で「脅迫者」に知られてしまった詩音。彼の恋は、この瞬間から、謎の少女を巻き込んだ奇妙でスリリングな三角関係へと変貌していくのです。
一度読んだら止まらない!本作の魅力と引き込まれる特徴
衝撃的なあらすじだけでも十分に引き込まれますが、本作の魅力はそれだけではありません。なぜこれほどまでに読者の心を掴むのか、その特徴をさらに深掘りしていきます。
魅力①:スペック格差の恋!エリート編集者と売れない「おっさん」
本作の第一の魅力は、主人公・青葉詩音と、彼が恋する相手との圧倒的な「スペック格差」にあります。
詩音は前述の通り、敏腕編集者、有名大学卒、高身長で容姿も良いという、非の打ち所のないエリートです。一方で、彼が愛する「先生」は、「売れてもいないし、金もなく、平凡なおっさん」と、社会的なステータスにおいては対極にいる存在として描かれます。
この極端なまでの「格差」は、詩音の恋が、地位や名誉、利害関係といった社会的な価値観では到底測れないものであることを強烈に示しています。それは理屈を超えた、本質的で純粋な感情のようにも見えますし、それ故に危うい「執着」のようにも見えます。
「気持ちが届かなくても、ただ好きなだけでいい」。そう覚悟を決めていたはずの詩音の理性を揺るがすほど、この恋は根深いものなのです。
魅力②:「私とおじさんを恋人にしろ」という脅迫から始まる、歪な三角関係
物語を強力にドライブさせるエンジン、それがこの衝撃的な「脅迫」です。
一般的な恋愛漫画の三角関係といえば、「AくんがBさんを好き。でもライバルのCくんもBさんを好き」といった構図を想像するかもしれません。しかし、本作は全く異なります。
構図を整理すると、「A(詩音)がB(先生)を好き」という秘密(弱み)を、「C(果成乃)」が握ります。そしてCは、自分の目的「B(先生)と恋人になる」を達成するために、A(詩音)を脅迫し、利用しようとするのです。
この結果、詩音と果成乃は、「先生」を巡る「恋敵」であると同時に、「先生への恋」を隠し通すための「秘密の共犯者」という、非常に歪で奇妙な関係性を結ぶことになります。
このスリリングな緊張感こそが、本作が「ハイテンション・トライアングル・ラブ」と呼ばれる所以なのです。
魅力③:彼女は「姪っ子(?)」か「娘(?)」か。謎多き少女・果成乃(かなの)
この奇妙な三角関係の引き金を引く少女は、一体何者なのでしょうか。
興味深いことに、作品の紹介文では、彼女の存在が「先生の姪っ子(?)」と書かれていたり、「先生の娘(?)」と書かれていたりと、表記が揺れています。
この意図的に付けられた「(?)」という記号は、単なる表記ブレではなく、物語上の重要な「謎(サスペンス)」であることを強く示唆しています。
下巻の紹介文などから、彼女の名前が「果成乃(かなの)」であることは分かりますが、彼女は本当に先生の娘(あるいは姪)なのでしょうか? そして、なぜ彼女は「先生と恋人になる」ために、詩音を脅迫するという回りくどい手段を取るのでしょうか?
彼女の素性と真の目的が謎に包まれていることが、物語から一層目を離せなくさせます。
魅力④:「恋だと知っている」— タイトルに込められた皮肉と切実さ
最後に、この『これが恋だと知っている』というタイトルについて考えてみたいと思います。
このタイトルは、主人公・詩音の「(たとえ報われなくても、相手がおっさんでも)この感情こそが恋なのだ」という強い確信と覚悟を示しているように読めます。
しかし、皮肉なことに、彼が「恋」だと知っているその感情は、泥酔した相手にキスをしようとするという理性を失った行動を引き起こし、結果として他者から脅迫される最大の「弱み」となってしまいます。
果たして、詩音が「恋」だと信じているこの感情は、本当に純粋なものなのでしょうか? それとも、彼の完璧な人生を狂わせる危険な「執着」なのでしょうか?
さらに言えば、脅迫という手段を使ってまで関係を構築しようとする少女・果成乃の行動もまた、歪んだ「恋」の一形態と言えるのかもしれません。
本作は、読者自身の「恋」の定義をも揺さぶってくるような、切実で哲学的な問いを投げかけてくるのです。
恋の三角関係を彩る主要キャラクターたち
この歪でスリリングな物語を動かす、3人の主要な登場人物たちをご紹介します。
青葉 詩音(あおば しおん):恋する相手は「おっさん」!? 敏腕エリート編集者
丸川社文芸部に勤める主人公。有名大学卒、高身長、容姿端麗、仕事もできるという完璧なスペックの持ち主です。しかし、その彼が密かに恋い焦がれているのは、売れない「おっさん小説家(先生)」。
「ただ好きなだけでいい」と自分に言い聞かせる理性的な側面と、酔った勢いでキスをしようとしてしまう情動的な側面のアンバランスさが、彼の人間的な魅力を際立たせています。
小説家(先生 ※作中では主に「先生」と呼ばれる):平凡で売れない、主人公が愛する「おっさん」
詩音と果成乃という、二人の強烈な(そして歪んだ)好意を一身に受ける中心人物です。
「売れてもいないし、金もなく、平凡なおっさん」と、その「何者でもなさ」が繰り返し強調されています。この彼の「平凡さ」が、逆に周囲の人物(詩音や果成乃)の特異性や感情の異常性を際立たせる装置として機能しています。
彼がこの奇妙な三角関係にどこまで気づいているのか、その反応も物語の鍵となります。
果成乃(かなの):脅迫から恋を始める!? 先生の「娘(?)」
詩音の「先生への恋心」という弱みを握り、「私とおじさんを恋人にしろ」と脅迫を仕掛けてくる謎の少女です。紹介文では「最大の恋敵」とも表現されています。
彼女の行動は、詩音の恋をかき乱す最大の「障害」であると同時に、長年膠着していた詩音と先生の関係性を、強制的に次のステージへ進ませる「触媒」のような役割も果たしています。
さいごに:『これが恋だと知っている』は、こんな人におすすめ!
ここまでご紹介してきたように、『これが恋だと知っている』は、単なる王道の恋愛漫画ではありません。
エリート編集者、平凡なおっさん小説家、そして謎の脅迫者の少女という、いびつな3人が織りなす、スリリングで心理的な「ハイテンション・ラブ」です。
もしあなたが、
- 「普通の甘い恋愛漫画には少し飽きてしまった」
- 「『ビームコミックス』系の、一癖も二癖もある個性的な作品が好き」
- 「登場人物たちの感情が激しくぶつかり合う、ヒリヒリするような心理戦が読みたい」
- 「『脅迫』から始まる予測不能なストーリー展開が気になる」
といった要素に少しでも心が動かされたなら、ぜひ本作を手に取ってみてください。
物語は上下巻で完結しており、この濃密な関係性の始まりから終わりまでを一気に読み通すことができます。
青葉詩音の「恋」が、そしてこの奇妙な三角関係が、どのような結末を迎えるのか。ぜひ、あなたご自身の目でお確かめください。


