不幸のプロが「幸せ」になったら?『きょうも厄日です THE FINAL』が描く人生の集大成

きょうも厄日です THE FINAL エッセイ
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「良いことがあると、逆に心底不安になってしまう」。

皆さんは、そんな経験はありませんか。

今回ご紹介する漫画『きょうも厄日です THE FINAL』は、まさにその感情を突き詰めた、感動と共感のコミックエッセイです。

著者の山本さほ先生は、なぜかトラブルばかり引き寄せてしまう体質の持ち主。「負の感情が創作の原動力」と公言するほど、その不幸な体験をユーモラスな漫画のネタとして昇華させてきました。

その「厄日」の記録こそが、人気シリーズ『きょうも厄日です』です。

しかし、本作『THE FINAL』で、山本先生に「人生最大の幸せ」が訪れます。

不幸を糧にしてきた漫画家が、幸せになってしまった。

それは、厄日続きの人生にとって、そして漫画家としてのキャリアにとって「クライマックス」の始まりを意味しました。

「厄日」のプロは、ついに「厄」とさよならしてしまうのでしょうか。そして、漫画家として描くものは、もう無くなってしまうのでしょうか。

本作は、その葛藤と答えを描き切った、まさに「最終章」と呼ぶにふさわしい一冊です。

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『きょうも厄日です THE FINAL』の基本情報

まずは作品の基本情報です。クライアントの要望に基づき、既刊情報やコード類は除外して作成しています。

項目内容
作品名きょうも厄日です THE FINAL
著者山本 さほ
出版社文藝春秋
ジャンル実録ハプニング・コミックエッセイ
連載媒体文春オンライン
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厄日よ、さようなら?シリーズ完結編の作品概要

『きょうも厄日です』シリーズは、山本さほ先生の「毎日が落とし穴だらけ」な日常を綴った大人気の実録コミックエッセイです。これまでに第1巻から第3巻までが刊行されており、本作『THE FINAL』は、その第4弾にして完結編となります。

では、なぜ本作が「完結」なのでしょうか。

それは、著者に訪れた「人生最大の幸せ」に深く関係しています。

前述の通り、山本先生の創作の原動力は「負の感情」でした。厄介な人、不条理な出来事、そうした「厄日」こそが、作品の源泉だったのです。

しかし、そんな先生に「人生最大の幸せ」が訪れます。

これは、一人の人間としては喜ばしいことですが、「厄日エッセイスト」としては最大のアイデンティティ・クライシス(危機)でもあります。

「幸せになった自分は、果たして自分で在り続けられるのか?」

「幸せになったら、漫画家として描くべきものがなくなってしまうのではないか?」

この、幸せを前にした当事者ならではの葛藤と、それに対する作者なりの「答え」を描き切ったからこそ、本作は『THE FINAL』と銘打たれているのです。

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ツイてると不安…人生最大の幸せがもたらした「厄日のクライマックス」

本作『THE FINAL』のあらすじは、ある特定の事件ではなく、著者の「状態」の変化を追うものになっています。

その「人生最大の幸せ」とは、ズバリ「結婚」です。

インタビュー記事がアクセス不能なため直接的な確証はありませんが、文春オンラインの連載エピソードには、その事実を裏付ける内容が描かれています。

しかし、そこは山本さほ先生の人生。一筋縄ではいきません。

この「結婚」という最大の幸福イベントが、即座に「新たな厄日」を生み出す様子が、本作では赤裸々に描かれます。

例えば、連載第119話「結婚に伴う手続きにうんざりする私。」。

幸せの絶頂であるはずの時期に、煩雑な手続きに追われ、謎マナー「内祝い」について友人に愚痴をこぼすなど、非常に現実的で面倒な「厄」に直面します。

さらに、連載リストを見ると、結婚という大きな出来事の後も、「うっすらと薄毛が気になる」(#120)や、17歳の愛猫が吐血する(#114)といった、人生の不安が消えずに併存していることがわかります。

本作のあらすじが示すのは、「幸せは不幸を上書きするのではない」という真実です。

人生はシーソーゲームではなく、幸せな出来事と、厄介な出来事が、ぐちゃぐちゃに共存する。

「厄日」はなくならない。ただ、「幸せ」と「厄日」が両方そこにある状態を、ありのままに受け入れること。

この成熟した境地こそが、本作がたどり着いた「厄日のクライマックス」なのです。

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なぜ私たちは「他人の厄日」に惹かれるのか?本作の尽きない魅力

魅力①:不幸あるあるの宝庫!共感しかない「厄」のディテール

本作の魅力の根幹は、なんと言ってもその圧倒的な「解像度の高い不幸」です。読者は「こんな目に遭っているのは自分だけじゃなかった」という安心感を得られます。

過去巻に収録された伝説的なエピソードだけでも、「世田谷区役所との戦い」(描き下ろし)、遭遇した「露出狂のおじさん」、無料体験エステでの「しつこい勧誘」など、強烈な体験が並びます。

最近の連載エピソードも負けていません。

17歳の愛猫が突然吐血した時の絶望的なパニック(#114)。身に覚えのない荷物が着払いで届き、「送りつけ詐欺」を疑う不安(#113)。そして、バイト時代に遭遇した「超がつくほどのくそやろう」店長への尽きない怒り(#111)。

これらの生々しいディテールこそが、読者の共感を掴む強力なフックとなっています。

魅力②:「負の感情」と「幸せ」のアンビバレントな関係性

本作は、コミックエッセイとしての「面白さ」だけでなく、「深み」も兼ね備えています。

それは、「ツイていると、逆に心底不安になる」という、ネガティブな人ほど強く共感できる感情を、真正面から肯定してくれる点です。

「負の感情」を「創作の原動力」とまで言い切る作者が、どうやって「人生最大の幸せ」と向き合うのか。

『THE FINAL』の最大の魅力は、この「幸せになってしまった」という最大の葛藤を、包み隠さず描いた点にあります。不安やネガティブな感情を抱えたまま、どうやって幸せと共存していくのか。その答えを探す姿に、読者は自分自身を重ね合わせることができます。

魅力③:『岡崎に捧ぐ』の著者が描く、シニカルで温かい人間観察眼

山本さほ先生は、自伝的漫画の傑作『岡崎に捧ぐ』の著者でもあります。

同作では、実在の幼馴染「岡崎さん」との1990年代の友情を、懐かしいゲームやおもちゃと共に、「笑いと涙」のエピソードとして描き切り、多くの読者の心を打ちました。

『きょうも厄日です』は、その卓越した「人間観察眼」で、過去(岡崎さんとの日々)ではなく「今(目の前の厄日)」を見つめた作品です。

そして、この二つの作品世界は、実は繋がっています。

『THE FINAL』のあらすじ紹介には、「岡崎さんと始めた始めた相互監視ダイエット」という一文が確認できます。

これは、『岡崎に捧ぐ』で描かれたあの「岡崎さん」が、現在の『きょうも厄日です』にも登場し、今度は「ダイエットの監視」という新しい形の関係性を続けていることを示しています。

スーパーファミコンで遊んだ二人が、今やダイエットという現実と戦っている。この「山本さほユニバース」とも言える人生の地続き感が、昔からのファンを惹きつけてやまない強い魅力となっています。

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厄日を生き抜く人々(と猫)の紹介

本作(実話)を彩る主要な登場人物(?)たちをご紹介します。

山本さほ:トラブル引き寄せ体質の漫画家

本作の主人公であり、語り手。なぜか「厄」ばかり引き寄せる特殊体質の持ち主。「負の感情」を原動力にしてきましたが、突如訪れた「人生最大の幸せ」に、誰よりも戸惑っている人物です。

夫:山本さほに「人生最大の幸せ」をもたらした新メンバー

『THE FINAL』の物語のきっかけを作った人物。「人生最大の幸せ」の源泉でありながら、彼の出現(=結婚)が「手続きにうんざり」という新たな「厄日」の火種ともなっている、本作の最重要人物と言えます。

トルコ:可愛さだけじゃない、絶妙に不条理な愛猫

山本家の重要なレギュラーメンバーである愛猫。その魅力は、彼の背景に集約されています。

彼は「可愛さ満開のSNS上の他のネコたちとはちょっと違う」存在です。

「怒ったり」「悩んだり」「襲われたり」「吐かれたり」する、「絶妙に不条理な実録猫コメディ」のスターなのです。

作者は、14年前に拾ったこの猫に対し、「(元の野良のままだったら)どっちの人生が幸せだったんだろう」と、自身の幸福論にも通じる複雑な問いを抱いています。

岡崎さん:ダイエットを監視しあう「心の友」

『岡崎に捧ぐ』でおなじみの、著者の伝説的な親友。

『THE FINAL』でも、「相互監視ダイエット」の仲間として登場。かつて青春を共にした二人が、今もこうして人生の新たなステージ(厄日?)を共に戦っている姿は、ファンにとって感慨深いものがあります。

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『きょうも厄日です』Q&Aコーナー

読者の皆さんが抱くであろう疑問に、Q&A形式でお答えします。

Q1: この漫画はフィクションですか?原作はありますか?

いいえ、フィクションではありません。これは著者・山本さほ氏の実体験に基づいた「実録ハプニング・コミックエッセイ」です。

したがって、原作となる小説なども存在しません。連載媒体である「文春オンライン」での連載がオリジナルとなります。

Q2: どんな人におすすめの漫画ですか?

作品のテーマから、以下のような方々に特におすすめです。

・『岡崎に捧ぐ』を読んで、山本さほ氏のファンになった方

・日常系のコミックエッセイが好きな方

・「なぜか自分はツイてない」「トラブルを引き寄せがちだ」と感じている方

・物事が順調な時ほど、なぜか不安になってしまう方

・結婚などのライフイベントの「幸せ」と「面倒くささ」の両方を味わった方

Q3: 作者の山本さほさんについて教えてください。

山本さほ氏は、ご自身の体験を赤裸々に描く自伝的漫画で高い評価を得ている漫画家です。

代表作の『岡崎に捧ぐ』は、90年代のご自身の幼馴染との友情を描き、世代を超えた大きな共感を呼びました。『きょうも厄日です』は、そんな彼女の「現在進行形」の人生を綴った、もう一つの代表作です。

Q4: シリーズものですが、『THE FINAL』から読んでも楽しめますか?

はい、問題なく楽しめます。コミックエッセイの特性上、基本的に1話完結型のエピソードが多いため、どの巻から読み始めても笑えて共感できます。

特に『THE FINAL』は、「幸せと厄日」という、この巻ならではの明確なテーマがあります。

ただ、もし可能であれば、第1巻、第2巻、第3巻を先に読んでおくと、著者がこれまで乗り越えてきた「厄日」の蓄積がわかるため、『THE FINAL』で描かれる「幸せ」のカタルシスが、より一層深いものになるはずです。

Q5: 過去作ではどんな「厄日」があったのですか?

シリーズの「厄日」はまさに粒ぞろいです。例えば、第1巻だけでも、無料体験エステでの悪質な勧誘、露出狂との遭遇、そして描き下ろしで全貌が明かされた、ネットでも話題になった「世田谷区役所との戦い」など、強烈なラインナップが揃っています。

「文春オンライン」の連載でも、前述の愛猫の吐血事件や、バイト先の「くそやろう」店長の話など、日々新たな厄日が更新されています。

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さいごに:さようなら、そしてありがとう、厄日たち

『きょうも厄日です THE FINAL』は、「不幸からの卒業」という単純なハッピーエンドを描いた作品ではありません。

本作が描くのは、「幸せ」と「不幸(厄日)」の「統合」です。

「人生最大の幸せ」は、「負の感情」を消し去るのではなく、ただ、その隣に座るだけ。不安や厄日を抱えたまま、幸せになること。

これこそが、山本さほ氏が見つけた最も現実的で、最も誠実な「答え」です。

「幸せなはずなのに、なぜか不安」

「ツイてない自分は、幸せになっちゃいけない気がする」

もしあなたが、そんな複雑な感情を抱えたことがあるなら、この漫画は、あなたのための本です。

「厄日」の女王がたどり着いた「厄日」と「幸福」の最終回答(THE FINAL)を、ぜひその目で見届けてください。

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