迷える大人たちへ贈る、心の深呼吸
みなさん、こんにちは。
ふとカレンダーを見て、「あれ、私もうこんな年齢?」と驚くこと、ありませんか。
毎日仕事に家事にと一生懸命走っているうちに、気づけば30代も後半、そして目の前には「40歳」という大きな節目が待っています。
20代の頃に思い描いていた40歳は、もっと大人で、もっと完璧で、何一つ迷いのない存在だったような気がします。
でも、実際にその年齢に近づいてみるとどうでしょう。
キャリアのこと、住まいのこと、親のこと、そして自分自身の体の変化。
「このままでいいのかな?」という漠然とした不安は消えるどころか、むしろリアルな重みを持ってのしかかってきたりしますよね。
「丁寧な暮らし」には憧れるけれど、SNSで見るようなキラキラした生活はハードルが高い。
「節約」もしなきゃいけないけれど、若い頃のような無理はもう効かない。
そんな、ちょっとお疲れ気味で、でもこれからの人生をもっと良くしたいと願っている全ての方に、今、全力でおすすめしたい一冊があります。
それが、今回ご紹介するおづまりこさんの最新刊『ごきげんな40歳になりたい』です。
おづまりこさんといえば、月2万円の食費で工夫して暮らす『おひとりさま』シリーズや、心地よいソロ活を描いた『ゆるり』シリーズで、多くの女性から共感を集めている人気コミックエッセイストです。
そんな彼女が今回テーマに選んだのは、ズバリ「40歳からの生活の再構築」。
長年暮らした東京を離れて関西へUターンし、念願だった猫を迎え、赤いケトルでお湯を沸かす。
そんなささやかな、でも確実な「幸せ」を一つひとつ積み重ねていく物語です。
ここには、劇的な成功物語はありません。
でも、読み終わった後に「あ、私も明日、新しいリップを買ってみようかな」と思えるような、等身大の希望が詰まっています。
今回は、この素敵な作品の魅力を、あくまで「一人のファン」として、熱量たっぷりに語り尽くしたいと思います。
長くなりますが、温かいお茶でも飲みながら、ゆっくりお付き合いください。
基本情報
まずは、この作品の基本的な情報を表にまとめました。書店で探す際や、電子書籍を検索する際の参考にしてください。
| 項目 | 内容 |
| タイトル | ごきげんな40歳になりたい |
| 著者 | おづまりこ |
| 出版社 | 文藝春秋 |
| 発売日 | 2025年11月20日 |
| ページ数 | 128ページ |
| 判型 | A5判 |
| ジャンル | コミックエッセイ / ライフスタイル / ノンフィクション |
| キーワード | 40代、Uターン移住、猫との暮らし、おひとりさま、シンプルライフ、メンタルヘルス |
| 電子書籍 | あり |
作品概要
『ごきげんな40歳になりたい』は、著者の実体験に基づいたコミックエッセイです。
これまでのおづまりこさんの作品は、「東京でのひとり暮らし」をベースに、「いかにお金をかけずに豊かに暮らすか(節約・自炊)」や「都会でのソロ活(食べ歩き・飲み歩き)」に焦点が当てられていました。
それはある意味、都会の荒波をサバイブするための「戦術書」のような側面もあったかもしれません。
しかし、本作は少しフェーズが変わります。
テーマは「転換(トランジション)」と「受容(アクセプタンス)」です。
物語の舞台は、東京から関西へ。
そして生活のパートナーとして「猫」が登場します。
これまで「効率」や「コスパ」も大切にしてきたおづさんが、40歳という年齢を迎え、「自分の心地よさ(=ごきげん)」を最優先基準にして、衣食住すべてを選び直していくプロセスが描かれています。
80ページ以上の描き下ろしが含まれており、ブログやSNSでは語られなかった引越しの詳細や、心の揺れ動き、そして40歳を記念した沖縄ひとり旅のエピソードなどがたっぷりと収録されています。
単なる「引越し漫画」でも「猫漫画」でもなく、一人の女性が「自分の人生の操縦席に座り直す」までの物語と言えるでしょう。
あらすじ
物語は、おづさんが40歳を目前にして、人生の大きな決断を下すところから始まります。
20代、30代を駆け抜けた東京。
そこにはたくさんの思い出があり、積み上げてきた生活がありました。
しかし、ふとした瞬間に感じる違和感や、将来への漠然とした不安。
「いちばん心地いい、わたしを探して」
おづさんは、住み慣れた東京の部屋を引き払い、地元である関西へのUターン移住を決意します。
引越しのドタバタを経て、関西での新生活がスタートします。
新しい部屋でまず始めたのは、「自分の好き」で空間を満たすこと。
その象徴が、キッチンに置かれた「かわいい赤いケトル」です。
ただお湯を沸かすだけの道具。でも、それが自分の大好きな色であるだけで、朝の台所仕事が「作業」から「儀式」に変わります。
そして、この新生活の最大の転機となるのが、「念願の猫」との出会いです。
過去の作品でも、道ゆく猫を目で追ったり、猫カフェに癒やしを求めたりしていたおづさん。
「いつか飼いたい」と思い続けていた夢を、ついに叶える時が来ました。
はじめての猫との生活。
予想外の行動に翻弄されつつも、猫の温かさに触れることで、おづさんの心に溜まっていた「力み」のようなものが、少しずつ溶けていきます。
生活が整うにつれて、おづさんの目は「外見」や「内面」にも向けられます。
40歳になって似合う服が変わってきたことへの戸惑い。
それを解決するために選んだのは、これまでは手に取らなかった「黒縁メガネ」や「キャップ」でした。
さらに、美容院での「インナーカラー」への挑戦。
派手すぎず、でも自分だけが知っている密かな楽しみとしてのヘアカラーは、大人の遊び心を刺激します。
物語の後半では、40歳の記念として敢行した「沖縄ひとり旅」が描かれます。
青い海、ゆったりとした時間。
そこで彼女は、これまでの人生を振り返り、「あきらめる練習」や「人を誘う勇気」について思考を巡らせます。
自分と違う価値観を持つ人と過ごしてみること。
できない自分を許すこと。
関西の穏やかな空気感の中で、おづさんが見つけた「ごきげんな40歳」の正体とは。
日々の小さな幸せを拾い集めながら、新しい自分へと脱皮していく、優しくて前向きな再生の記録です。
40代の心に沁みる、5つの「ごきげん」ポイント
ここでは、本作を読んで特に心に響いた魅力や特徴を、5つのポイントに絞って深掘りしていきたいと思います。
その1:モノ選びの基準が「コスパ」から「ときめき」へ
おづまりこさんの過去作『おひとりさまのあったか1ヶ月食費2万円生活』などでは、限られた予算内でいかにやりくりするかという「工夫」が大きな魅力でした。
もちろん、本作でもその堅実な金銭感覚は健在です。
しかし、40歳を迎えたおづさんのモノ選びには、明らかな変化が見られます。
それが象徴的に表れているのが「赤いケトル」のエピソードです。
おそらく、機能だけで選べばもっと安いケトルや、無難な色のケトルもあったはずです。
でも、彼女はあえて「赤」を選びました。
これは、マリー・コンドーさんの言う「ときめき」に近い感覚かもしれません。
目に入るたびに元気がもらえる色。
使うたびに「あ、いいな」と思えるデザイン。
40代のお金の見直しとは、単に財布の紐を締めることではなく、「自分の心を豊かにしてくれるものには、しっかり投資する」というメリハリなのだと気づかされます。
その2:ついに解禁!猫マンガとしての破壊力
古くからのファンにとって、本作は「おめでとう!」と叫びたくなるような一冊です。
なぜなら、おづさんがついについに、猫飼いになったからです!
これまでの作品で、野良猫を見かけては切ない視線を送っていた彼女を知っているだけに、猫を抱きしめる幸せそうな描写には、読んでいるこちらまで胸がいっぱいになります。
猫との暮らしは、単に「かわいい」だけではありません。
朝起こされたり、仕事の邪魔をされたり。
でも、その「思い通りにならない存在」がそばにいることが、独り身の生活に程よいリズムと温もりを与えてくれます。
「猫は一期一会」という言葉が過去の記事にもありましたが、運命の猫と出会い、家族になっていく過程は、どんな恋愛漫画よりもドキドキと安心感を与えてくれるでしょう。
猫の描写も、おづさん特有の丸みのある柔らかいタッチが最大限に生かされており、モチモチとした触感が伝わってくるようです。
その3:40歳の「おしゃれ迷子」を救うヒント
「去年まで着ていた服が、急に似合わなくなった」
これは40代女性のあるあるではないでしょうか。
体型の変化や、肌の質感の変化で、今までのおしゃれが通用しなくなる「40歳の壁」。
おづさんもその壁にぶつかりますが、彼女の乗り越え方がとても参考になります。
無理に若作りをするのでもなく、かといって地味にまとまりすぎるのでもない。
「黒縁メガネ」で顔の印象を引き締めたり、「キャップ」でカジュアルダウンしたり。
そして何より素敵なのが「インナーカラー」への挑戦です。
髪の内側だけを明るい色にするインナーカラーは、仕事などのTPOを守りつつ、自分の心をごきげんにするための最高のおしゃれです。
「ひとてま“だけ”美容」という言葉が出てきますが、完璧を目指さず、できる範囲で少しだけ手をかける。
そのスタンスが、美容へのハードルをぐっと下げてくれます。
その4:Uターン移住という「攻め」の選択
最近、地方移住やUターンが注目されていますが、実際に踏み切るのは勇気がいるものです。
「東京で負けたから帰る」というネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、おづさんのUターンは、非常にポジティブで戦略的です。
「いちばん心地いい場所」を求めて移動する。
これは、自分の人生を主体的にデザインする行為に他なりません。
関西という、東京とはまた違う文化圏・時間軸の中に身を置くことで、凝り固まっていた価値観がほぐれていく様子が丁寧に描かれています。
実家との距離感や、地元の友人との再会など、Uターンならではのリアルな事情も描かれており、これから移住を考えている人にとっても貴重なケーススタディになるはずです。
その5:内面の変化「あきらめる」は「明らかにする」
本作の中で特に印象的なのが、精神面での変化です。
「あきらめる練習」というキーワードが登場します。
「諦める」という言葉はネガティブに聞こえますが、仏教用語では「明らかにする(物事の理をはっきりさせる)」という意味も含まれています。
自分にできることと、できないことを明らかにする。
若さゆえの万能感を⼿放し、等身⼤の⾃分を受け⼊れる。
そうすることで、逆に「人を誘う勇気」が湧いてきたり、「自分と違う人と過ごす」余裕が生まれたりします。
40代は、体力の曲がり角であると同時に、精神的な成熟の始まりでもあります。
その静かな成熟のプロセスが、沖縄の青い海や日々の暮らしの中に溶け込むように描かれていて、読む人の心を浄化してくれます。
主要キャラクターの簡単な紹介
本作に登場するメインキャラクター(?)をご紹介します。
おづまりこ:ごきげん探求者
キャッチコピー:迷えるアラフォーから、ごきげんなアラフォーへ
本作の著者であり、主人公。兵庫県生まれ。
美大卒業後、東京でルームシェアやひとり暮らしを経験し、数々のコミックエッセイを生み出してきました。
性格は基本的には真面目で慎重派ですが、美味しいものと楽しいことには目がありません。
好きな食べ物はトマト。
40歳を機に関西へUターンし、理想のライフスタイルを模索中。
完璧ではないけれど、昨日の自分より今日の自分を少しだけ好きになれるよう、日々実験を繰り返しています。
読者にとっては「頼れる友人」のような存在です。
猫(ちゃん):おづ家の主(あるじ)
キャッチコピー:存在そのものが癒やし!ふわふわのセラピスト
関西での新生活で、おづさんのパートナーとなった猫。
種類はおそらくシャム猫ミックス系?(表紙のイラストからの推測ですが、耳や顔の特徴がそれっぽいです)。
長年猫を飼うことを夢見ていたおづさんの元へやってきた、運命の相手。
自由気ままで、ツンデレな一面もありますが、おづさんの膝の上や近くで過ごすのが大好き。
おづさんが仕事に行き詰まった時や、ちょっと落ち込んだ時に、何も言わずに(あるいは「ごはん!」と鳴いて)そばにいてくれる、最強のメンショナ(メンタル・エモーショナル)サポーターです。
Q&A
作品について、よくありそうな質問や気になる点をQ&A形式でまとめました。
Q1: 原作となる小説やドラマはありますか?
いいえ、本作に原作となる小説などはありません。
著者であるおづまりこさんの実体験を綴った「コミックエッセイ」というジャンルのオリジナル作品です。
ただし、著者のブログやX(旧Twitter)などで発信された日々のエピソードがベースになっている部分はありますが、書籍化にあたり80ページ以上の描き下ろしが加えられており、ブログ読者でも新鮮な気持ちで楽しめます。
Q2: どんな人におすすめの漫画ですか?
特に以下のような方に、強くおすすめします。
- 今の生活になんとなく閉塞感を感じている30代・40代の方
- 「丁寧な暮らし」に憧れるけど、ズボラな自分も捨てきれない方
- これから猫を飼いたいと思っている方、または猫好きの方
- Uターンや移住を考えている単身者の方
- おづまりこさんの過去作(『おひとりさま〜』シリーズなど)のファンの方
もちろん、性別や年齢に関わらず、「日常の小さな幸せ」を再発見したい全ての方に楽しんでいただける内容です。
Q3: 作者のおづまりこさんは、過去にどんな作品を描いていますか?
おづまりこさんは、これまでにも多数の人気作を発表されています。
- 『おひとりさまのあったか1ヶ月食費2万円生活』:デビュー作にして代表作。自炊アイデア満載の節約エッセイ。
- 『ゆるり より道ひとり旅』:身近な場所への小旅行を楽しむ、旅エッセイ。
- 『金曜日のほろよい1000円ふたりメシ』:友人との安くて美味しい家飲みを描いた作品。
- 『わたしの1ヶ月1000円ごほうび』:限られた予算で心を豊かにするアイデア集。
これまでは「節約・工夫」がメインテーマでしたが、今作はより「ライフスタイル・マインド」に踏み込んだ内容になっています。
Q4: 40歳でなくても楽しめますか?
はい、全く問題ありません!
20代・30代の方が読めば、「40代って怖くないんだ」「こんなふうに年を重ねたい」というポジティブな予習になります。
逆に50代・60代の方が読めば、「あの頃の自分もこうだったな」と共感したり、「今からでも新しいことは始められる」という勇気をもらえたりするでしょう。
「自分を大切にする」という普遍的なテーマが描かれているので、世代を超えて響くものがあります。
Q5: ひとり暮らしじゃなくても参考になりますか?
もちろんです。
ご家族と住んでいる方でも、「自分の機嫌を自分でとる」というマインドセットは非常に役立ちます。
また、インテリアの選び方や、ひとてま美容、お金の使い方などは、家族構成に関わらず応用できるヒントがたくさん詰まっています。
特に「あきらめる練習」という考え方は、子育てや介護などで忙しい世代の方にこそ、心の荷物を下ろすきっかけになるかもしれません。
Q6: 読んだ後の効果(効能)はありますか?
個人的な感想ですが、この本には「自己肯定感をじんわり高める効果」があると思います。
「すごい人」にならなくてもいい。「映える生活」じゃなくてもいい。
自分が「ごきげん」なら、それが正解なんだ。
そう思わせてくれる著者の優しい視点に触れることで、読み終わった後は肩の力が抜け、明日が少し楽しみになるはずです。
「心のデトックス」をしたい時に、ぜひ読んでみてください。
さいごに
ここまで、『ごきげんな40歳になりたい』について、たっぷりと語らせていただきました。
40歳という年齢は、決して「若さの終わり」ではありません。
それは、自分という人間の「取り扱い説明書」がようやく完成し、本当に好きなものだけに囲まれて生きていくことができる「大人の本番」の始まりなのかもしれません。
おづまりこさんが描く世界には、誰も傷つけない優しさと、日常を面白がる才能が溢れています。
関西へ戻り、赤いケトルでお湯を沸かし、猫を撫でる。
そんな、なんでもないような日々が、実は一番贅沢で尊いものであること。
この本は、忙しさの中で私たちが忘れかけていた大切なことを、そっと思い出させてくれます。
もし今、あなたが将来への不安を感じていたり、ちょっと元気が足りないなと思っていたりするなら。
ぜひ書店や電子書籍ストアで、この本を手に取ってみてください。
表紙のおづさんと猫ちゃんの笑顔が、あなたを「ごきげん」な世界へと誘ってくれるはずです。
読み終わった時、きっとあなたも思うはずです。
「わたしも、ごきげんな40歳になりたい!」と。
そして、「まずは赤いケトル…いや、私は青いマグカップを買ってみようかな」なんて、小さなワクワクが心に灯るかもしれません。
この記事が、あなたと素敵な一冊との出会いのきっかけになれば、こんなに嬉しいことはありません。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
それでは、みなさんもどうぞ「ごきげん」な毎日をお過ごしください!


